社内のwikiにGROWIを使っているなら、10月7日に出たv8.0.7より前の版は更新が要ります。
公表したのは、JPCERT/CCとIPAのJVNです。10月27日に3件をまとめて載せ、開発元の株式会社GROWIも、同じ日にお知らせとGitHubの勧告を出しています。
いちばん気をつけたいのは、同時編集の脆弱性です。閲覧しか許していない人が、ページの下書きを書き換えられます。
しかも、その中身は、あとから保存した正規の編集者の名前で履歴に残ります。
3件の脆弱性と悪用できる人
| CVE |
できてしまうこと |
悪用できる人 |
対象の版 |
CVSS 4.0 |
| CVE-2026-105272 |
閲覧権限のないページの本文とコメントを読む |
ログインできる人 |
v3.2.10〜v8.0.6 |
2.3 |
| CVE-2026-109848 |
閲覧権限のないページの本文を、自分が編集できるページへ写す |
閲覧だけでないログインユーザー |
v4.5.5〜v8.0.6 |
2.3 |
| CVE-2026-115624 |
ページの下書きを書き換える |
閲覧だけのユーザー、ゲスト、承認待ちなどのユーザー |
v7.0.0〜v8.0.6 |
6.9 |
表で見てほしいのは、深刻度の数字より「悪用できる人」の列です。どれも社外の攻撃者というより、すでにページを見られる人が出発点になります。
読み取りの2件は、ページの版(リビジョン)が、そのページのものかを確認していなかったものです。見られるページのIDと、見られないページの版のIDを組み合わせると、見られない版の中身が返ってきました。
写す方の脆弱性では、写した先のページの中身が、写した本文で置き換わります。読み取りと書き換えが一度に起きる形です。
下書きの書き換えが厄介な理由
同時編集の脆弱性は、同時編集の接続を始めるとき、閲覧できるかだけを見て、編集できるかを確認していなかったものです。
書き換えた本人は、ページを保存できません。保存の処理は、正しく断るからです。
ただ、書き換えた中身は下書きとして残ります。正規のユーザーがあとでエディタを開いて保存すると、そのユーザーの名前でページの履歴に入ります。同じページを編集中のほかの人にも、その場で見えます。
履歴を見ても、書いたのは正規の社員。
手順書の連絡先やリンクを書き換えられたら、だれも気づかないまま社内に広がるでしょう。
ゲストのアクセスを「閲覧のみ」にして、ログインしていない人にページを見せている会社では、ログインしていない人も書き換えられます。ユーザー登録を止めていても防げない、と開発元はGitHubの勧告に書いています。
株式会社GROWIのお知らせ。脆弱性ごとの対象の版と、書き換えが起きる条件出典: 株式会社GROWI「GROWI 脆弱性対応のお知らせ (JVN#51223238)」(引用)
うちの会社が対象になる条件
分かれ目は、動いている版です。
- GROWIを自社のサーバーやDockerで動かし、版がv8.0.6以前なら対象です。ログインできる人がいれば、読み取りの2件が当たります。v7.0.0以降は、閲覧だけのユーザーや承認待ちなどのユーザーがいるだけで、下書きの書き換えも当たります。
- ゲストのアクセスを「閲覧のみ」にしていると、ログインしていない人まで書き換えの対象に入ります。
- v8.0.7以降に上げていれば、対象外です。
GROWI.cloudについて、10月27日のお知らせは触れていません。
ただ、10月22日に出たNode.jsの件のお知らせでは、GROWI.cloudの利用者にv8.0.8への更新を求め、安定版には1週間以内に反映するとしています。v8.0.8はv8.0.7より新しい版なので、v8.0.8に上がっていれば今回の修正も入っているはずです。
同じお知らせの対策方法。v8.0.7以降への更新と、すぐ上げられないときの設定出典: 株式会社GROWI「GROWI 脆弱性対応のお知らせ (JVN#51223238)」(引用)
更新までに確認すること
- 動いている版を確認します。Dockerで動かしているなら、使っているイメージのタグも見ておきます。v8.0.6以前なら、更新の日を決めます。
- 上げる先は、v8.0.8がよいでしょう。v8.0.7の公式のDockerイメージは、10月21日に直ったNode.jsの脆弱性を含まない版で組まれていると、株式会社GROWIが案内しています(Node.jsが脆弱性10件を修正)。
- すぐに上げられないなら、管理画面のセキュリティ設定(/admin/security)で、ゲストのアクセスを「拒否」にします。防げるのは、ログインしていないゲストだけです。
- 残るのは、閲覧だけのユーザーと、承認待ち、停止中、招待中のユーザーです。この人たちが見られるページの範囲を絞るよう、開発元は勧めています。停止中のユーザーまで入っている点は、見落としやすいところです。
- ゲストが見られるページの下書きは、保存する前に中身を確認します。これも開発元の求めです。あわせて、公開しているページの最近の履歴に、心当たりのない変更が無いかも見ておくと安心です。
GROWIの脆弱性は今年7回目
株式会社GROWIのお知らせの一覧を見ると、JVNの公表は2026年だけで7回あります。前回は10月5日のファイルのアクセス制限不備で、3週間しか空いていません。
救いは、直す側が早いことです。今回も、修正版のv8.0.7は公表の20日前に出ていました。
社内のwikiには、手順書から問い合わせ先まで、社員が頼りにする情報が集まります。更新の担当と、JVNのお知らせを見る人を決めておくと、次の公表で慌てずに済むでしょう。