GitHub Advisory Databaseに、Jupyter Serverの実行権限の制限を回避できる脆弱性「CVE-2026-114135」が掲載されています。制限付きの独自AuthorizerとJupyter Gatewayなどを使う環境では、読み取り専用のつもりで付与した権限でも、プログラムの実行を許してしまう恐れがあります。資料に公開日の記載はありません。
ログインではなく、実行を許す判定に不備
今回の欠陥は、ログインをすり抜ける「認証回避」ではありません。認証済みのユーザーに対し、何を許可するかを判断する「認可」の不備です。
問題があるのは、Gateway用のWebSocketハンドラーです。これは通信を処理する仕組みで、カーネルと呼ばれるプログラムの実行部分に対する認可確認が欠落しています。勧告によると、実行を禁じられたユーザーでもカーネルにメッセージを送れます。その結果、読み取り専用などの制限付きユーザーが、カーネルの実行権限を得られるとされています。
影響は権限の設定だけにとどまりません。勧告は、カーネルが扱えるデータや認証情報へのアクセスにつながると説明しています。確認の中心は、ログインできる人の一覧だけでなく、「ログイン後に実行させない」という制限が機能しているかです。
2.6.0以降でも旧ハンドラーの登録を確認
既定のGateway構成で影響するバージョンは、2.0.0~2.5.0です。該当版では、接続先を指定するGatewayClient.urlを設定すると、問題のハンドラーへ自動で置き換わります。
勧告では、既定のGateway構成は2.6.0で修正されたとみられるとしています。2.6.0以降の既定経路は、認可を確認する標準ハンドラーを使います。
ただし、非推奨となった旧ハンドラーは現行版にも残っています。これを直接登録した場合は、認可不備が残ります。したがって、対応の判断にはバージョンと登録設定の両方が必要です。「2.6.0以上だから確認終了」とはできません。
日本での提供は発表には書かれていません。本件の影響条件として示されているのは、利用する版とGateway、認可の構成です。
影響する会社・しない会社
- 影響する: 実行を制限する独自AuthorizerとJupyter Gatewayなどを併用し、Jupyter Server 2.0.0~2.5.0の既定のGateway構成を使っている会社です。Authorizerは、利用者の操作を許可するか判断する仕組みです。
- 影響する: 現行版でも、非推奨の旧ハンドラーを直接登録している環境です。独自の認可設定で実行を制限している場合は、版だけで対象外と判断しないでください。
- 影響しない: 2.6.0以降で、認可を確認する標準ハンドラーを使う既定経路は、今回の欠落が修正されたとみられる構成です。旧ハンドラーを直接登録していないことも確認してください。
- 影響しない: 制限付きの独自AuthorizerとGatewayを併用しない環境は、勧告が示した影響条件には該当しません。ただし、これをJupyter Server全体の安全性の保証と取り違えないことが重要です。