クラウド ストライク(CrowdStrike)は、年次の催し「Fal.Con 2026」でAIを使った新しい機能を発表しました。催しは米ラスベガスで2026年8月31日から9月3日に開かれ、日本語の抄訳も9月9日から16日に出ています。主な5つの機能の提供の段階と、Falconを使う会社やEDR (端末の不審な動きを見つけて止める製品)を選ぶ会社が確かめることを、公式の発表とブログからまとめます。
発表された5つの機能は何をするのか
機能
何をするか
位置づけ(公式の説明)
SafeMind
攻撃役のモデルRed Tempestと防御役のモデルBlue Solanoを同じループで動かし、検知のルールを作る
同社の研究所の成果。Falconの中で動く予定
Falcon Guardian
端末で動くAIエージェント を見つけ、許可したものだけを動かし、実行中の攻撃を止める
Falcon AIDR(AIの検知と対応)を発展させた製品
Agentic Identity Provider
AIエージェントを登録し、偽れないIDと、期限の短い権限を与える
Falcon Next-Gen Identity Securityの機能
エージェント型SOCの次の段階
複数のAIエージェントが、端末・ID・SaaS ・クラウド・ネットワークを同時に調べる
Next-Gen SIEM とCharlotte AIで提供
Real-Time Supply Chain Attack Protection
npmとPyPIの不正なパッケージを、ダウンロードの時点で隔離する
今のFalconのセンサーに組み込み
SafeMindの性能の数字は社内の評価です。発表文は「検知率29%向上」、9月17日のブログは「精度70%向上」と、示し方も違います。
いま使えるもの・試せるもの・予定のもの
発表文とブログの表記を、機能ごとにそのまま並べると次のとおりです(10月19日確認)。
機能
中身
公式の表記
SafeMind
最初の提供はFAIRRというサービス(アプリの脆弱性を探す)
Falconの中で動く形の時期は記載なし
Falcon Guardian
AIエージェントの発見・実行の許可・実行時の検知と対応
段階の表記なし
Falcon Guardian
AIゲートウェイ(AIへの通信をまとめて見る)
プレベータ。Q4に一般提供の予定
Falcon Guardian
Falcon Complete for Guardian(監視の代行)
Q3に提供の予定
Falcon Guardian
OverWatch Cross-Domainの脅威ハンティング
提供中。両方の契約が必要
Agentic IdP
登録・検証できるID・期限の短いトークン
時期の記載なし
エージェント型SOC
複数のエージェントの調査・認定データパイプライン
プレベータ
エージェント型SOC
SOARの統合の作業画面(自動か承認かの設定)
パブリックプレビュー
エージェント型SOC
自前のモデル(OpenAI・Anthropic)・MCPでの接続
一般提供(GA)
サプライチェーンの保護
ダウンロード時の隔離(Windows・macOS・Linux)
段階の表記なし。ポリシーで有効にする
サプライチェーンの保護
全端末のパッケージの一覧(Exposure Management)
Q3の予定
サプライチェーンの保護
公開からの日数の下限などの制限
Q4の予定
5つの機能の提供の段階を、公式の表記のまま並べた図 作成: 編集部 / もとの資料: 作成: 編集部 / もとの資料: CrowdStrikeの発表文とブログ
ブログの「Q3」「Q4」が、暦年か同社の会計年度かは書かれていません。同社の2027年度は、2027年1月31日に終わります(SECへの届け出)。会計年度なら、第3四半期は2026年8〜10月、第4四半期は11月〜2027年1月です。
発表文とブログの多くには、次の断り書きがあります。
Any unreleased services or features referenced here are still in development and subject to change. Customers should make their purchase decisions based upon features that are currently available.
出典: CrowdStrike「CrowdStrike Unveils the Next Evolution of the Agentic SOC」
未提供の機能は開発中で変わることがあり、購入は今使える機能で決めてほしい、という意味です。日本語の抄訳にも同じ趣旨の文があります。日本での提供の時期と価格は、どの抄訳にも書かれていません。
今のFalconで確かめること
サプライチェーンの保護は開発者の端末だけの話ではない
ブログは、新しいセンサーの配布は要らず、ポリシーを有効にすれば使えると書いています。Windows・macOS・Linuxで、npm installやpip installで落ちてくるパッケージを調べます。Claude CodeやChatGPT Codexのような、AIのコーディングの道具が入れるパッケージも対象です。
隔離は、開発の作業を止めることにもなります。有効にする前に、開発部門と、止まったときの連絡先と、解除を判断する人を決めておきます。公開から日の浅いパッケージを入れさせない設定は、ブログの時点でQ4の予定です。
ブログの記述。公開日数の制限はQ4、パッケージの一覧はQ3の予定 出典: CrowdStrike(ブログ) (引用)
全端末のパッケージの一覧は、Falcon Exposure Managementを通して出すと書いています。npmのパッケージが乗っ取られる例は、npmのTrusted Publishingに弱点、1,500超のパッケージに乗っ取りの恐れ で取り上げています。
Falcon Guardianは「どのAIエージェントを許すか」が先
Guardianは、管理する端末で動いてよいAIエージェントの種類を決め、許可していないものを止めます。見つける対象の端末は、発表文がWindowsとmacOS、ブログが対応するWindows・macOS・Linuxと書いています。自社の端末の種類で使えるかを確かめます。
許可の設定を作るには、社内で使ってよいAIエージェントの一覧が要ります。エージェントに渡す権限の考え方は、「APIキーは.envに」はもう危ない AIエージェントに渡す権限の決め方 にまとめています。エージェントの記録はNext-Gen SIEMに入り、標準の保存期間が付くとしていますが、日数は書かれていません。
AIの自動の対応は、任せる範囲をワークフローごとに決める
エージェント型SOCの発表文は、ワークフローごとに、人の承認から完全な自動まで、任せる度合いを利用者が決めるとしています。この作業画面は、パブリックプレビューです。
ブログの記述。自動か承認かをワークフローごとに設定(プレビュー) 出典: CrowdStrike(ブログ) (引用)
自前のモデルを使う機能では、自社のOpenAIやAnthropicの契約を使えます。どのデータがモデルの会社に渡るかは、発表に書かれていません。MCP(AIと道具をつなぐ決まり)では、ほかの会社のエージェントがFalconの道具につながります。つなぐエージェントに渡す権限は、必要な分に絞ります(編集部の提案)。
影響する会社・しない会社
影響する: Falconのセンサーを入れていて、npmやPythonのパッケージを入れる端末がある会社。開発部門だけでなく、AIのコーディングの道具を使う部署も含みます。
影響する: 社員が端末でAIエージェントを使っていて、Falcon AIDRやGuardianを使っている・検討している会社。
影響する: Charlotte AIやNext-Gen SIEMで、自動の対応を組んでいる・組む予定の会社。
影響する: いまEDRを選んでいる会社。発表の多くは未提供で、比べるときに提供の段階を分ける必要があります。
影響しない: Falconを使っておらず、乗り換えも考えていない会社。
急がなくてよい: Agentic IdPとSafeMind。提供の時期の記載がなく、今の設定で変わる所はありません。
情シスが今日やること
Guardian、サプライチェーンの保護、Charlotte Agentic SOARの新機能について、営業の担当か販売店に問い合わせます。今の契約に含まれるか、追加の費用か、日本でいつから使えるかを聞きます。
Falconの管理画面で、センサーの版と、サプライチェーンの保護のポリシーが出ているかを確かめます。有効にする前に、開発部門と止まったときの手順を決めます。
社内で使ってよいAIエージェントの一覧を作ります。Guardianの許可の設定は、この一覧がもとになります。
自動の対応を使うなら、端末の隔離やアカウントの停止など影響の大きい操作のうち、「承認が要る」にする範囲を決めます(編集部の提案)。
EDRを比べているなら、比べる表に「提供の段階(GA・プレビュー・予定)」の列を足し、提供済みの機能で評価します。
2026年10月19日時点の内容です。