Cloudflareは2026年10月23日、大容量ファイルの部分取得を扱う「Origin Range Requests」の提供を開始しました。全プランで利用でき、動画やソフトウェア配布などで、利用者が取得範囲のサイズを調整せずにキャッシュを活用できるようになります。
対象通信をルールで指定し、範囲サイズの調整を省く
範囲要求は、ファイル全体ではなく、必要な位置のデータだけを取得する要求です。Origin Range Requestsは、動画、大容量ダウンロード、ソフトウェア配布のほか、AIの学習・推論で使う大容量モデルファイルの転送や部分取得も想定しています。
設定場所は、管理画面の「Caching > Cache Rules」です。Cache Rulesで対象通信を指定し、「Origin Range Requests」をOnにして有効化します。APIからの設定にも対応し、範囲サイズの調整やサポートへの連絡は不要です。
旧方式では、ゾーンごとに範囲サイズとファイル拡張子を設定していました。同社によると、範囲を大きくすると余分な転送が増え、小さくすると要求数やメモリ負荷が増えるという課題がありました。新方式では、このサイズ調整を利用者が担う必要がなくなります。
なお、日本での提供は発表には書かれていません。
キャッシュ処理を変更、すべての応答が対象になるわけではない
同社によると、新方式はクライアントが送る範囲要求自体を変えず、一時保存したデータを使うキャッシュ側の処理を変更します。保存済みの部分を使い、不足分だけを固定長の単位で取得します。進行中のダウンロードを別の要求でも共有し、同じデータの重複取得を抑える仕組みです。
ただし、要求した範囲より取得単位が大きい場合は、新方式でも要求外のデータを取得します。「必要な部分だけを、余分な転送なしに取得できる」という意味ではありません。
同社はR2について、キャッシュにデータがある場合とない場合の双方で、最初のデータが届くまでの時間のp99が約半減したと説明しています。p99は、計測値を短い順に並べたときの99%地点の値です。また、追加改善後にはR2などの階層型キャッシュ通信量が前週比で約6%減ったとしています。これらは同社が示した結果であり、自社の配信でも同じ改善幅になると見込んで導入するものではありません。
通常のキャッシュ対象条件は変わりません。有効化しても、キャッシュできない応答は対象外です。部分取得を活用するには、配信元となるオリジンサーバーがバイト範囲要求に対応している必要があります。同社によると、安全に部分応答を構成できない場合は、ファイル全体を返します。
影響する会社・しない会社
- 影響する: Cloudflareを使い、動画、大容量ダウンロード、ソフトウェア配布で部分取得を扱う会社です。全プランが対象のため、契約プランだけを理由に検討対象から外す必要はありません。
- 影響する: 旧範囲キャッシュ機能を利用していた会社です。一般提供に先立ち、既存利用者は新方式へ移行済みとされています。以前のサイズ設定を前提にした運用手順は、確認対象になります。
- 影響しない: キャッシュ不可の応答を配信している場合、その応答は今回の機能を有効にしても対象になりません。キャッシュ可否の条件を変える機能ではありません。