Anthropicは、Claude を使う人向けのGoogle Workspace アドオン「Claude for Google Workspace」を、公式ヘルプで案内しています。ドキュメント・スプレッドシート・スライドの横にClaudeのサイドバーが出て、開いているファイルを読んで直接編集します。使い方の紹介は別の記事に任せ、ここでは、Workspaceの管理者が決めることに絞って整理します。
まず確認 対象のプランと提供の状況
公式ヘルプの囲みには、次のように書かれています(2026年10月8日に確認)。
Claude for Google Workspace is available in beta for Pro, Max, Team, and Enterprise plans. You also need a Google account that is allowed to install Google Workspace Marketplace apps.
出典: Anthropic「Use Claude in Google Docs, Sheets, and Slides」
無料プランは、対象に挙がっていません。
使えるブラウザはChrome・Edge・Safariです。Firefoxはベータ版では対応しておらず、サイドバーが開いても操作が終わりません。
1回の長い処理は、Google側の制限で6分までです。
Connected Sheets(BigQueryにつないだタブ)は、読み書きできません。
日本での提供は、ヘルプの対象のプランの説明に地域の記載がなく、確認できていません。
管理者が許可・禁止する方法
ヘルプによると、入れ方は「個人で入れる」「管理者が組織に入れる」の2つです。どちらが使えるかは、Googleの管理者のMarketplace設定で決まります。
やりたいこと
方法(公式ヘルプとGoogleの管理者ヘルプ)
利用者が自分で入れてよい
Marketplaceのアクセスを「許可リストのアプリだけ」にして、Claudeを許可リストに追加する
管理者が全員または一部に配る
スーパー管理者がClaudeの掲載ページで「Admin install」。全員か、グループ・組織部門を選ぶ
禁止する
許可リストに入れない(許可リストの方式の場合)。入れたあとなら、管理コンソールでアンインストールする
範囲を絞る
許可を特定のグループ・組織部門だけにする。ほかの利用者は自動で対象外になる
許可リストの画面は、管理コンソールの「アプリ」「Google Workspace Marketplace アプリ」「アプリリスト」の「Allowlist app」です。操作にはMarketplace管理者の権限が要ります。管理者によるインストールは、利用者のインストールを止めていても使えます(Claudeのヘルプ)。
Claudeのヘルプ。Marketplaceを止める会社の許可リストと管理者の導入 出典: Anthropic(Claude Help Center) (引用)
アンインストールは、管理コンソールの同じ画面で「Claude」を選んで行います。全員の画面で、ファイルを再読み込みしたあとに消えます。
設定のときの注意
Marketplaceで「claude」と検索すると、Claudeの名前を含む第三者のアドオンが多数並びます(2026年10月8日に確認)。許可するのは、Claudeのヘルプからたどった掲載ページの、発行元を確かめたものだけにします。
Googleの管理者ヘルプは、許可リストに入れたアプリも、APIの制御で除外されることがある、と書いています。許可したのに使えない人は、API制御の設定も見ます。
すべてのアプリを許可している会社には、許可リストの設定は効きません。まず「Manage access to apps」の方式を確認します。
Googleに求める権限とデータの扱い
Claudeがはじめて使われるとき、Googleは2つの権限の許可を求めます。
Googleが示す権限
Claudeの説明
Display and run third-party web content in prompts and sidebars inside Google applications
サイドバーを出すため
View and manage documents, spreadsheets, or presentations that this application has been installed in
開いている1つのファイルを読み書きするため。Googleが、ほかのファイルを開けないようにしている
ドライブ・Gmail・カレンダー・連絡先へのアクセスや、ファイルからのネットワーク通信は求めない、とヘルプは説明しています。共有の変更や、ファイルの所有者の変更、スケジュール実行の作成も、Claudeにはできません。
データの扱いは、ヘルプの次の説明にまとまっています。
開いているファイルの内容、利用者のメッセージ、添付したファイルがClaudeに送られます。
Team・Enterpriseは、組織の商用規約とデータ処理補遺(DPA)が適用されます。Pro・Maxは、個人向けの規約とプライバシーポリシーです。
この内容は、モデルの学習には使われません。入力と出力は、Anthropicのシステムから30日以内に削除されます。
組織で設定した、独自のデータ保持の設定は、アドオンには引き継がれません。
チャットの履歴は、ブラウザの中にファイルごとに保存されます。ほかの共同編集者には見えません。
Claudeが直した内容は、利用者の名前で、Googleの変更履歴に残ります。
Enterpriseの管理機能と、使えないもの
項目
ベータ版での扱い
Compliance API
対応(Enterprise)。入力・応答・ツールの呼び出し・編集を取得できる
顧客管理の暗号化鍵(CMEK)
対応(Enterprise)
OpenTelemetryの監査ログの出力
対応。Claude側で設定した収集先に送られる
Amazon Bedrock・Vertex AI・Azure AI Foundryなど
非対応。Claudeのアカウントでのサインインが必須
ゼロデータ保持(ZDR)
使えない
HIPAA対象の組織
対象外。保護された医療情報には使わない
サインインは、組織がSSOを使っていればSSOに対応します。APIキーでのサインインはできません。
影響する会社・しない会社
影響する: Google Workspaceを使い、Claude(Pro・Max・Team・Enterprise)を、会社か個人で契約している社員がいる会社。Marketplaceの設定によっては、管理者が知らないうちに、社員が自分で入れられます。
影響する: Marketplaceのアプリを、すべて許可にしている会社。許可リストの方式にしない限り、止める方法がアンインストールだけになります。
影響する: 契約書・見積書・顧客名簿のスプレッドシートを、Googleのファイルで扱う会社。ファイルの内容がClaudeに送られます。
影響しない: Claudeの有料プランを、会社にも社員にも契約していない会社。無料プランは対象に挙がっていません。
影響しない: Marketplaceのアプリを、すべて止めていて、Claudeを許可リストに入れていない会社。「This application is not allowed by your administrator」と出ます。
影響しない(確認が要る): ゼロデータ保持やBedrock・Vertex AI経由のAIの利用を条件にしている会社。ベータ版では、どちらも使えません。
情シスが今日やること
Google管理コンソールの「アプリ」「Google Workspace Marketplace アプリ」「設定」を開き、「Manage access to apps」の方式を確認します。「すべてのアプリ」なら、止めたい範囲を決めてから許可リストの方式に変えます。
「アプリリスト」で、Claudeとその類似のアドオンが、すでに入っていないかを確認します。入っていれば、発行元と、入れている組織部門を見ます。
Claudeを使わせる範囲を決めます。試すだけなら、特定のグループか組織部門に絞って許可します。「Admin install」で配るなら、対象を絞ってから行います。
社内規程に、スプレッドシートやドキュメントの内容をClaudeに送ってよい区分を書きます。Pro・Maxの個人契約で会社のファイルを扱わない、と決めるかも含めます。
ゼロデータ保持や保持期間の設定を契約の条件にしている会社は、「組織の保持設定は引き継がれない」「30日以内に削除」の説明を、法務・セキュリティ担当と共有します。
今回の公式の情報で確かめきれないこと
日本での提供の範囲と、日本語の画面の対応
ベータ版の終了の時期と、正式版の提供
サインインするClaudeのアカウント(会社のTeam・Enterprise、個人のPro・Max)を、管理者が指定する方法
ベータ版のため、ヘルプの内容は変わることがあります。設定を決めたら、Claudeのヘルプの最新の版を見て、変わった点がないかを確かめます。