OpenAIは2026年10月6日、Atlassianとの提携を広げると発表しました。AtlassianのプラットフォームとAIエージェント「Rovo」を、OpenAIの最新モデルが支えます。Jira・Confluenceを使う会社が、いまの設定で何を確認すればよいかを、公式の情報で整理します。
何が発表されたのか
OpenAIの発表の要点は、次のとおりです(2026年10月8日に確認)。
| 項目 |
発表に書かれていること |
| 提携の内容 |
GPT-6ファミリーのフロンティアモデルを、Atlassianのプラットフォーム全体に導入する |
| Rovoとの関係 |
新しい契約に基づき、OpenAIのフロンティアモデルがAtlassianのプラットフォームとRovoのエージェントを支える |
| 使えるモデル |
AtlassianはGPT-6 AstraやGPT-5.6シリーズを含む、最新のOpenAIモデルをより幅広く使える |
| 背景 |
2023年に始まった協業の発展。Atlassian社内では3,000人以上の開発者がCodexを使っている |
| 製品の外側 |
ChatGPTとCodex向けのAtlassianプラグインを通じて、JiraやConfluenceの情報をAIに取り込める |
| 今後 |
Jiraとの連携強化(AIエージェントへの作業の割り当て、進捗の追跡、結果のレビューなど)を検討している |
Rovoは、AtlassianのAIです。Teamwork Graphという仕組みで、人・プロジェクト・文書・意思決定を結び付け、JiraのチケットやConfluenceの文書をまたいで質問に答えます。OpenAIの発表は、たとえばリリース前のプロダクトマネージャーが「作業は予定どおりか」とRovoに尋ねる場面を挙げています。
AtlassianのAI Trustのページ。LLM提供元は入出力を保存・学習に使えない出典: Atlassian(引用)
会社のデータはどうなるのか
発表には、データの扱いの記載が少ないため、Atlassianの信頼センター(Trust Center)の説明を確認しました。このページは提携の発表より前から公開されている一般的な説明で、GPT-6には触れていません。
- Rovoは、AtlassianのLLM(大規模言語モデル)と、OpenAI・Anthropic・Googleなど第三者が運用するLLMを組み合わせています。どのモデルを使うかは、場面に応じて自動で決まります。
- 回答を作るため、既定では現在のサイトの外にある第三者のLLM提供元へデータが送られます。1件ずつ、暗号化された通信で送ります。
- 送るのは、利用者の入力と、その利用者が閲覧する権限のある組織のデータです。
- 第三者のLLM提供元は、入力と出力を保存せず、サービスの改善にも使いません。ゼロデータ保持(ZDR)の契約がある、と説明しています。
- Cloud Enterpriseの組織は、申請すればAtlassianが運用するLLMだけを使う設定にできます。この場合、第三者のLLMには送られません。
- AI機能は、Atlassian Administrationで、アプリごとにオン・オフできます。ただしRovo Searchなど、AIを使わない機能は切れません。
一方、信頼センターは、Atlassianが運用するオープンソースのモデルの改善に、メタデータを使うことがあるとも書いています。これは、データ提供の設定に従い、個人が分からない形にまとめてから使うと説明しています。
Data Center・Serverの製品については、OpenAIの発表にも信頼センターの該当の説明にも書かれていません。
提供の時期と日本での扱い
OpenAIの発表は、提携の拡大を「発表」したもので、提供の開始日や対象のプランを書いていません。Atlassianの投資家向けページの最新ニュースには、10月7日付でほかの2件(AMPとForward Deployed Engineering)が載っていますが、この提携の記載は見つけられませんでした。
日本での提供は、発表に書かれていません。日本語版のOpenAIの発表はありますが、Rovoの提供範囲や日本語での対応は、書かれていないままです。
「ChatGPTとCodex向けのプラグイン」は、発表の中で、すでに公開されたものとして書かれています。一方、Jiraの連携強化は「検討」と書かれており、決まった機能ではありません。
影響する会社・しない会社
- 影響する: Jira・Confluence・Jira Service ManagementのCloudで、Rovoを使っている、または使えるようにしている会社。使うモデルがこれから変わっていく可能性があります。
- 影響する: ChatGPT・Codexの業務利用と、Atlassianを同じ社員が使っている会社。プラグインでJiraやConfluenceの内容がAIに渡ります。
- 影響する: 社内規程で「AIに送ってよいデータ」を、サービス名とモデルの提供元で決めている会社。提供元がOpenAIを含むことを確認し直す必要があります。
- 影響しない: AtlassianのRovoのAI機能を、管理画面で切っている会社。ただしRovo Searchのような、AIを使わない機能は残ります。
- 影響しない: Jira・Confluenceを使っていない会社。
- 影響しない(確認が要る): Data Center・Serverだけの会社。発表と信頼センターの説明に、該当の記載は確認できませんでした。
情シスが今日やること
- Atlassian Administrationを開き、Rovoなど、AI機能のオン・オフがいまどうなっているかを確認します。AI機能を切っていない会社は、すでに第三者のLLMにデータが送られる設定です。
- 社内規程の「AIに送ってよいデータ」の一覧に、OpenAIが提供元に含まれることを書き足すかを決めます。秘密区分の高い空間(Confluenceのスペースやプロジェクト)を洗い出すと、判断が早くなります。
- Cloud Enterpriseの契約なら、Atlassianが運用するLLMだけを使う設定が必要かを経営・法務と相談します。必要なら、営業担当かサポートに申請します。
- 社員が、個人のChatGPT・Codexに、Atlassianのプラグインをつないでいないかを聞き取ります。つないだ場合、権限の範囲内でJiraやConfluenceの内容がAIに渡ります。
- 提供の時期と対象のプランは、Atlassianの発表を待ちます。決まるまで、確かめていないことを社内の案内に書かないようにします。
今回の発表で確かめきれないこと
- GPT-6がRovoに入る時期と、対象のプラン、追加の料金の有無
- 日本のリージョンやデータの所在への影響
- Data Center・Serverでの扱い
- Rovoが、場面ごとにどのモデルを選ぶかを、管理者が指定できるか
これらは、公式の発表が出たら書き足します。いまは、信頼センターの説明にあるとおり、AIに渡る範囲を権限で絞り、管理画面で止められる範囲を把握しておくことが現実的です。