Amazon Web Servicesは2026年10月12日、HTTPアプリを動かす「AWS Lambda Web Functions」を発表し、提供を開始しました。AWSによると、既存のHTTPアプリをイベントハンドラーに書き換えずにLambdaで実行できます。東京リージョンも対象で、WebアプリやAPIの実行基盤を検討する企業に新しい選択肢が加わります。
HTTPアプリをそのまま動かす選択肢
従来のLambdaのイベント駆動モデルでは、受け取ったイベントを処理するコードを使います。Web Functionsでは、HTTPアプリをその形に書き換える必要がないとしています。Express、Hono、Fastify、Next.jsなどに対応し、Lambda専用のアダプターやラッパーと呼ばれる接続用のコードも不要です。
ただし、提供開始時の実行環境は、CPUのアーキテクチャであるArm64上のNode.js 24(nodejs24.x)です。「書き換え不要」という説明だけで移行を決めず、自社アプリの実行環境がこの条件に合うかを確認する必要があります。
AWS CLIというコマンド操作用ツールの単一コマンドで、事前にリソースを作らずデプロイできます。CLIがコードの公開と接続先の作成を行い、HTTPS URLを返します。従来のLambda関数には、イベント駆動モデルを示す「Event Functions」という名称も導入します。
日本では東京リージョンで提供されています。ほかの提供地域は米国東部のバージニア北部とオハイオ、米国西部のオレゴン、欧州のアイルランドです。日本語対応と日本向けの料金額は、今回の発表には書かれていません。
同時処理と課金、公開範囲を確認
AWSによると、1つの実行環境で最大128リクエストを同時に処理できます。用途として、Webアプリ、APIバックエンド、対話型のHTTP処理を挙げています。
料金はCPUとメモリで基準が異なります。CPUはコードが使ったCPU時間、メモリは実行環境が存在する時間に基づきます。AWSは、通信や入出力を待つI/O待ちが多いWeb処理では、コンピューティング費用を削減し得ると説明しています。すべてのアプリで安くなるという発表ではないため、費用の比較ではCPUだけでなくメモリの条件も確認したいところです。
処理量に応じたスケーリングと、複数リージョンへのコード配布を自動化します。複数リージョン構成では単一のグローバルURLを使えますが、低遅延のリージョンへの振り分けはベストエフォートです。必ず最も速い地域へ接続する保証として扱わないことが重要です。
また、リビジョン、つまりコードの版ごとにトラフィックを分配し、段階的に新コードへ移行できます。Amazon CloudFrontの配信元にエンドポイントを指定でき、OACというアクセス制御で呼び出し元を自社の配信に限定できます。VPCという仮想ネットワークへの接続にも対応し、その内部のリソースにアクセスできます。
影響する会社・しない会社
- 影響する: 東京など提供対象のリージョンで、Arm64上のNode.js 24を使うHTTPアプリの導入や移行を検討する会社です。専用の接続コードを使わない構成が検討対象になります。
- 影響する: I/O待ちの多いWeb処理や、複数リージョンでの配信を検討する会社です。課金条件と接続先の振り分け方法が評価項目になります。
- 影響しない: 提供開始時の実行環境という範囲では、Node.js 24以外やArm64以外を前提にするアプリは対象に含まれていません。追加対応の時期は発表には書かれていません。
- 影響しない: HTTPアプリの導入検討とは別に、従来のイベント駆動型Lambdaを使う会社には「Event Functions」という名称が導入されます。AWSのWhat's Newは、名前だけの変更で、既存の関数のコードの変更や再デプロイは要らないと書いています。
情シスが今日やること
- 今日、開発担当または委託先に、候補アプリの実行環境設定とデプロイ用設定を確認してもらいます。Node.jsの版、CPUアーキテクチャ、利用フレームワーク、配布先リージョンを一覧にし、開始時の対応条件と照合します。
- 試験公開前に、開発担当とネットワーク担当へ、HTTPS URLの公開範囲を確認するよう依頼します。CloudFront経由に限定する必要があるか、OACを使うか、VPC内のどのリソースへ接続するかを決めます。今回の資料には管理画面の具体的な操作手順はないため、設定方法は別途確認します。
- 採用判断前に、運用担当と経理へCPU時間とメモリの課金基準を共有します。試験で確認する項目を両方に分け、I/O待ちが多いことだけを理由に費用削減を確定しないようにします。
- 本番公開前に、開発担当とリビジョン間のトラフィック分配方法を決めます。複数リージョンを使う場合は、利用部門にも振り分けがベストエフォートであることを伝え、接続の評価条件をそろえます。
公開の範囲・上限・ログについて、情シスが先に決めておく設定は、Lambda Web Functionsは既定で認証なしの公開URL 情シスが先に決める設定にまとめています。
2026年10月13日 追記: 既存のLambda関数の呼び名の変更について、AWSのWhat's Newの記載(名前だけの変更で、コードの変更や再デプロイは不要)を加えました。解説の記事へのリンクも足しています。