Amazon Web Services(AWS)は2026年10月8日、DynamoDBからAmazon S3へ必要なデータだけを書き出す「フィルター付きエクスポート」を日本語記事で紹介しました。この記事は2026年10月1日公開の原文の翻訳で、2026年10月8日に新たに提供を始めたという発表ではありません。必要な項目や属性を選べるため、特定の顧客のデータだけを取り出す用途や、連絡先を除いて履歴を共有する用途で検討できます。
必要なデータだけをS3へ書き出す
今回の機能は、既存のエクスポートAPIに「FilterSpecification」を追加して使います。APIは、プログラムから機能を呼び出すための仕組みです。データ全体を対象にするフルエクスポートと、一定期間の変更を対象にする増分エクスポートの両方で、絞り込みを指定できます。
選択条件には、DynamoDBのQueryやScanと同じ式構文を使います。キー条件では、1つのパーティションキー値を選択できます。また、「ProjectionExpression」で出力する属性を指定できます。属性は、データに含まれる個々の情報です。
AWSは、複数の顧客が利用するシステムで特定の顧客のデータを復旧することや、顧客連絡先を除いた履歴共有を活用例として挙げています。ただし、共有に使う場合は、出力条件に必要な情報だけが含まれているかを別途確認することが大切です。
出力先のS3は、同じAWSアカウントでも、別のAWSアカウントでも指定できます。日本での提供は発表には書かれていません。日本のリージョンでの対応状況や日本向けの価格も、今回の資料では確認できません。
出力を減らすことと、処理量を減らすことは別
読み取り元は稼働中のテーブルではなく、PITRバックアップです。PITRは、過去の指定時点に復元するための機能で、利用には対象テーブルでの有効化が必要です。AWSによると、このエクスポートはテーブルキャパシティを消費せず、本番トラフィックにも影響しません。
注意したいのは、絞り込み方によって処理データ量への効果が異なる点です。キー条件で読み取り範囲を限定すると、処理データ量を減らせます。一方、属性のフィルター条件は読み取り後に適用されるため、処理データ量は減りません。S3に書き出す量が少なくなることだけを理由に、処理量も減るとは判断できません。
PITRで指定できる過去の時点は最大35日前です。増分エクスポートの対象期間は最短15分、最長24時間で、変更後の状態と、任意で変更前の状態を含められます。復旧や履歴共有を計画する際は、取り出したい時点・期間がこの範囲に収まるかを確認してください。
影響する会社・しない会社
- 影響する: DynamoDBからS3へのエクスポートを利用し、必要な項目や属性だけを取り出したい会社です。利用には対象テーブルでPITRを有効にする必要があります。
- 影響する: 特定の顧客の復旧や、顧客連絡先を除いた履歴共有を検討する会社です。AWSが紹介した活用例に当たります。
- 影響しない: DynamoDBからS3へのエクスポートを利用せず、導入も検討していない会社では、今回の機能を直接検討する必要はありません。
- 影響しない: 既存利用者に設定変更や移行が必要となる条件は、発表には書かれていません。対象となる企業規模の条件も記載されていません。
情シスが今日やること
以下は導入検討の手順です。発表に対応期限は記載されていません。
- 今日の確認対象として、DynamoDBからS3へ出力している処理を洗い出します。既存のエクスポートAPIの呼び出し設定で、対象テーブル、出力先のS3、フル・増分の別を確認してください。
- 対象テーブルのPITR設定を確認します。有効でない場合は、導入判断の前に運用担当者へ前提条件を伝えます。過去の時点や対象期間が、機能の範囲に収まるかも合わせて確認します。
- 開発担当者とデータの利用部門に、残す項目と除く属性を確認します。APIのFilterSpecificationとProjectionExpressionに指定する内容を整理し、顧客連絡先を除く用途では出力結果も確認してください。
- 運用担当者に、キー条件と属性のフィルターでは処理データ量への効果が違うことを知らせます。導入判断までに、どちらで絞り込む設計なのかを明確にします。
- 利用開始前に、日本の利用リージョンでの対応状況を確認します。権限管理の担当者とは、フルエクスポートと同じIAM権限を使うこと、出力先が同一・別アカウントのどちらかを確認してください。IAMはAWSのアクセス権限を管理する仕組みです。