従来の健康保険証は、2025年12月1日で有効期限が切れました。期限切れの保険証でも受診できた暫定的な取扱いも、2026年7月31日で終わっています。いま病院で使えるのは、マイナ保険証か資格確認書です。
この記事では、2026年10月時点の扱いと、会社の総務・人事がやることをまとめます。
健康保険証はいつまで使えた?日付で見る移行の流れ
マイナ保険証とは、マイナンバーカードに健康保険証の機能を登録したものです。国は2024年12月2日に従来の保険証の新規発行をやめ、マイナ保険証を基本とする仕組みに切り替えました。発行済みの保険証には、最長1年の猶予がありました。
| 日付 |
起きたこと |
| 2024年12月2日 |
従来の健康保険証の新規発行が終了 |
| 2025年9月19日 |
準備の整った医療機関・薬局で、スマートフォンのマイナ保険証が使えるように |
| 2025年12月1日 |
従来の健康保険証の有効期限が終了 |
| 2026年7月31日 |
期限切れの保険証を持参した場合でも使えた暫定的な取扱いが終了 |
| 2026年7月末 |
後期高齢者医療制度の加入者に交付した資格確認書の有効期限(8月以降は広域連合が案内) |
厚生労働省は、受付ではマイナ保険証か資格確認書を出すよう案内しています。古い保険証を持って行っても、もう保険証としては扱われません。
会社に関係するルール いつから・誰に・何を・罰則は
健康保険の手続きは、会社(事業主)が日本年金機構や健康保険組合に届け出ます。マイナ保険証になっても、この流れは変わりません。会社に関係するルールを表にします。
| いつから |
誰に |
何を |
罰則 |
| 入社した日(事実発生)から5日以内 |
事業主 |
被保険者資格取得届を提出。マイナンバーを記載 |
届出をしない・うその届出は6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(健康保険法第208条) |
| 退職日の翌日(事実発生)から5日以内 |
事業主 |
被保険者資格喪失届を提出。協会けんぽは資格確認書を添付 |
同上 |
| 雇われたとき |
従業員 |
マイナンバーカードか基礎年金番号通知書を会社に示す |
マイナンバーの回答を拒んだ場合の罰則はなし(協会けんぽ) |
| 2024年12月2日以降 |
保険者(協会けんぽ・健保組合) |
資格情報のお知らせ、必要な人に資格確認書を交付 |
該当なし |
協会けんぽは、マイナンバーを出さないことへの罰則はないとしています。ただし、マイナンバーが確認できないと、その人はマイナ保険証で受診できません。入社書類でマイナンバーを集める理由として、社員に伝えておくと話が早くなります。
社員が病院で出すものは3つ
受診のときに出すものは、本人の状況で変わります。総務への問い合わせが多いのは、ここの違いです。
| 出すもの |
持っている人 |
注意すること |
| マイナ保険証(カード) |
健康保険証の利用登録をした人 |
電子証明書の期限切れから3か月間は保険証として使える。早めに更新を |
| スマートフォンのマイナ保険証 |
iPhoneかAndroidにマイナンバーカードを入れ、利用登録した人 |
使えるのは対応した医療機関・薬局だけ。カードも持ち歩くと安心 |
| 資格確認書 |
マイナ保険証を持っていない人 |
従来の保険証と同じ効力。有効期限は5年以内で保険者が決める |
「資格情報のお知らせ」は、加入している保険の記号・番号などを知らせる紙です。原則として、単独では受診に使えません。オンライン資格確認を導入していない医療機関では、マイナンバーカードと一緒に出すと資格を確認できます。
マイナ保険証で受付ができなかったら
厚生労働省は、何かの事情でマイナ保険証の受付ができなくても、ほかの方法で資格を確認すると説明しています。その場合も、自己負担は10割ではなく、通常の割合で保険診療を受けられます。窓口でまず相談するよう、社員に伝えてください。
カードリーダーの不具合で受付できないときの確認方法(厚生労働省・2025年9月時点)出典: 厚生労働省ウェブサイト「【資料】マイナ保険証と資格確認書について」(公共データ利用規約(第1.0版)(厚生労働省ホームページの利用規約))
転職の直後で、新しい資格がまだ反映されていないこともあります。協会けんぽによると、いったん全額を払った場合は、あとで療養費を申請すれば保険診療分の7割か8割が戻ります。領収書は捨てずに取っておくよう案内しましょう。
マイナ保険証には、会社にとっての利点もあります。入院などで医療費が高くなっても、限度額適用認定証を事前に申請せずに、窓口の支払いが自己負担の上限までになります。認定証の発行を総務が取り次いでいた会社では、その手間が減ります。
資格確認書は誰に届く?申請が要る人と要らない人
資格確認書は、マイナ保険証を持たない人のための受診券です。厚生労働省によると、当分の間は申請しなくても無償で届きます。申請が要るのは一部の人だけです。
| 区分 |
対象になる人 |
| 申請しなくても届く |
マイナンバーカードを持っていない人 |
| 申請しなくても届く |
カードはあるが、健康保険証の利用登録をしていない人 |
| 申請しなくても届く |
マイナ保険証の利用登録を解除した人 |
| 申請しなくても届く |
カードの電子証明書の有効期限が切れた人 |
| 申請して受け取る |
高齢や障害などで、カードでの受診が難しい人(更新時の申請は不要) |
| 申請して受け取る |
カードをなくした人、更新中の人 |
資格確認書の交付対象と様式のイメージ(厚生労働省・2025年9月時点)出典: 厚生労働省ウェブサイト「【資料】マイナ保険証と資格確認書について」(公共データ利用規約(第1.0版)(厚生労働省ホームページの利用規約))
後期高齢者医療制度(75歳以上が入る制度)の加入者には、2026年7月末まで有効な資格確認書が全員に配られていました。8月以降の扱いは、加入している広域連合が案内しています。75歳を迎えて会社の健康保険から抜ける社員がいれば、広域連合の案内を見るよう伝えてください。
入社・扶養・退職で総務・人事がやること
マイナ保険証になって、会社の仕事が消えたわけではありません。紙の保険証を配る代わりに、別の紙と確認が増えています。場面ごとに整理します。
入社したとき
- 入社日から5日以内に資格取得届を出す。電子申請・郵送・窓口のどれでもよい
- 本人のマイナンバーを記載する。扶養家族がいれば被扶養者(異動)届も出す
- 協会けんぽから届く「資格情報のお知らせ」と、必要な人の資格確認書を本人に渡す
協会けんぽによると、資格情報のお知らせは届け出からおよそ2〜3週間(9〜18日間)で会社に届きます。その間にすぐ受診が必要なら、年金事務所に被保険者資格証明書の交付を申請できます。マイナ保険証をすでに登録している人は、転職しても登録し直す必要はありません。
家族を扶養に入れたとき
結婚や出産で家族を扶養に入れるときは、社員が会社に「被扶養者(異動)届」を出し、会社が提出します。協会けんぽからは、家族の分の資格情報のお知らせと、必要な場合は家族用の資格確認書が届きます。
家族がマイナ保険証を使うには、家族自身のカードで利用登録が要ります。子どもの登録は、保護者が子どものカードを読み取って代わりに行えます。
住所や氏名が変わったとき、外字の社員がいるとき
資格確認書の記載が変わると、協会けんぽは事業所を通して新しい資格確認書を送ります。マイナポータルで氏名が「●」になる社員がいるのは、届出の漢字が外字だったためです。原則として受診に支障はありませんが、直したい場合は会社の担当者を通して日本年金機構に相談します。
退職したとき
協会けんぽの加入者が退職するときは、資格喪失届に資格確認書を添えて出します。対象は交付されている人だけです。なくして回収できないときは「資格確認書回収不能届」を添えます。
健康保険組合の加入者については、日本年金機構の案内で喪失届の添付書類は「特になし」です。
期限の切れた古い健康保険証について、協会けんぽは返却のほか本人による破棄も認めています。健康保険組合は扱いが異なることがあるので、組合の案内を確認してください。
利用登録の解除を相談されたとき
マイナ保険証の利用登録の解除は、本人が保険者に申請します。協会けんぽは、勤務先を通す必要はなく、勤務先に通知もしないと説明しています。解除した人には資格確認書が届きます。
資格確認書について社員から相談を受けたら、会社としては理由を聞かずに対応するのが基本です。
そのまま使える社員への案内文の例
社内のお知らせやメールに、次の文面をそのまま使えます。健康保険組合に入っている会社は、問い合わせ先を組合に書き換えてください。
件名: 健康保険証の扱いについて(2026年10月)
従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が切れました。期限切れの保険証で受診できた特例も、2026年7月31日で終わっています。
病院や薬局では、次のどちらかを出してください。
- マイナ保険証(マイナンバーカードまたは対応したスマートフォン)
- 資格確認書(マイナ保険証をお持ちでない方に届いています)
マイナンバーカードの電子証明書の期限が近い方は、お住まいの市区町村で更新してください。資格確認書や資格情報のお知らせをなくした方、ご家族の扶養に変更がある方は、総務までご連絡ください。古い健康保険証は、細かく切ってから処分してください。
今日からできること
最後に、総務・人事の担当者が今日確認しておきたいことをまとめます。
| チェック |
確認すること |
| 入社書類 |
マイナンバーの記載欄があり、5日以内に資格取得届を出す段取りになっているか |
| 配布物 |
資格情報のお知らせと資格確認書を、本人に渡したか記録しているか |
| 退職手続き |
資格確認書の回収と、回収できないときの回収不能届が手順にあるか |
| 社内の案内 |
古い保険証は使えないこと、出すものは2つだけであることを周知したか |
| 75歳の社員 |
後期高齢者医療制度に移る人に、広域連合の案内を見るよう伝えたか |
| 問い合わせ先 |
協会けんぽか健保組合か、自社の問い合わせ先を社員が分かるようにしたか |
保険証の移行は、2026年7月末の暫定的な取扱いの終了で一区切りがつきました。これからは、入社と退職のたびに確実に届け出て、配布物を渡すことが会社の仕事の中心になります。