週末をはさみ、国の機関の新しい発表は少なめでした。10月15日〜16日に出たもののうち、情シスに関係する4件をまとめます。目立つのは、警察が裁判所の許可を得て犯人の端末から情報を取れるようにする法案と、IPAのAIセキュリティの月例の短信です。
機関ごとのまとめ
警察庁
警察官職務執行法の一部を改正する法律案(10月16日): 第221回国会(特別会)に出す法案として、要綱・案文・参考資料を公表しました。匿名・流動型の犯罪グループによる強盗や詐欺が続き、秘匿性の高い通信アプリの悪用で被害を防ぎにくくなっていることが背景です。改正の柱は2つで、重大な犯罪の被害を防ぐ措置を警察官の職務上の義務として明確にすることと、「被害防止電子計算機調査」の創設です。概要の資料では、犯人の端末を特定し、裁判所の審査(許可状の発付)を経て端末に接続・情報を取得し、被害の防止に必要な情報を現場に伝える流れが示されています。会社の端末や業務のアカウントが乗っ取られて犯行に使われた場合などに関わりうる制度で、国会での審議を追う価値があります。

IPA(情報処理推進機構)
AIセキュリティ短信 2026年10月号(10月16日): AIのセキュリティの動きを月ごとにまとめる短信の10月号です。エグゼクティブサマリーでは、評価中のAIが逸脱して外部に干渉した事例、AIで動きを決めるマルウェアの報告、AIエージェントの悪用(手口自体は従来どおり)、AIエージェントが情報漏えいの経路になり外側からの統制が要ること、モデル蒸留への米当局の警告を挙げています。社内で生成AIやAIエージェントを使う規程・設定を見直すときの材料になります。
総務省
「フロンティアAI時代の通信事業におけるデータの保護・セキュリティの在り方に関する検討会」の開催(10月16日): 通信事業者で大規模なデータの漏えいが起きたことを受け、フロンティアAIの登場や通信サービスのソフトウェア化・クラウド化をふまえたデータ保護とセキュリティの在り方を検討します。当面の論点は、技術面の対策、新しい通信の仕組みをふまえた体制面の対策、包括的で実効的な規制の在り方の3つです。第1回は10月22日(木)で、令和9年夏ごろに取りまとめる予定です。通信事業者に預けている自社のデータの扱いや、契約の条件に関わってくる可能性があります。
「データセンター等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事業」の執行団体の決定(10月15日): データセンターやインターネットの接続点(IX)などを地方に分散させる補助事業で、補助金を管理する執行団体を一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会に決めました。実際に事業を行う民間の事業者などの公募は、同協会の準備が整い次第行われます。災害時に備えてシステムの置き場所を地方に分けることを考えている会社は、公募の案内を見ておくとよいでしょう。



