Googleは2026年10月15日、Cloud RunとTemporal Cloudの連携を発表しました。「Temporal Serverless Workers on Cloud Run」をプレビュー提供し、バックグラウンド処理を実行するワーカーの台数をタスク量に応じて自動調整します。需要に先行して処理能力を確保しつつ、処理待ちの仕事がなければゼロ台まで縮小できるとしています。
タスクの取得遅延を見て、先回りして増やす
Temporal Cloudは、オープンソースのTemporalを運用管理込みで提供するサービスです。今回の連携では、ワーカーが利用者のプロジェクト内で動き、Temporal Cloudからタスクを取得します。Googleによると、既存のワーカーコードを変えずに利用できます。
台数を増やす主な判断材料は、キューに入ったタスクをワーカーが取得するまでの遅延です。キューは、処理待ちの仕事をためる仕組みです。遅延が条件を満たすとサーバーがワーカーコントローラーに通知し、台数を増やします。Googleは、予備の処理能力を確保して需要に先行する仕組みと説明しています。
利用者は最小・最大台数を設定できます。最大台数で処理しきれないタスクも破棄せず、キューで待機させます。一方、縮小前には、タスクに空きワーカーが見つからなかった最後の時点から、既定で90秒待ちます。
待機後の初回タスクで起動待ちを避けたい場合、Googleは最小台数をゼロより多くするよう案内しています。ゼロ台への縮小を優先するか、処理開始までの待ち時間を抑えるかが、設定時の判断点になります。
費用だけでなく、権限と更新方式も確認
ワーカープールは継続的なバックグラウンド処理向けで、外部からアクセスする公開エンドポイントを持ちません。各インスタンスには稼働中を通じてCPUが割り当てられます。Googleによると、Temporalからの接続用にポート開放やファイアウォール設定を行う必要はありません。
台数の変更は、Temporal Cloudが付与されたIAM権限を使い、Cloud Run Admin APIを通じて実行します。IAMは、誰がどの操作を行えるかを管理する仕組みです。接続用のポート設定とは別に、台数変更を許可する権限の確認が必要です。
Googleによると、課金はインスタンス稼働中のみで、ゼロ台なら計算資源の費用はかかりません。CPU・メモリの時間単価は、インスタンス課金のCloud Runサービスより約40%低いとしています。これは時間単価の比較であり、総費用が一律に約40%下がるという説明ではありません。
利用には、ワーカーの版を管理する「Temporal Worker Versioning」が必須です。ビルドごとに別のプールを配置します。開始時の版で処理を完了させる「PINNED」と、展開に合わせて新しい版へ移行する「AUTO_UPGRADE」があります。旧版の処理が完了すると、そのプールは自動でゼロ台まで縮小するとしています。
日本での提供は発表には書かれていません。日本語対応、日本向け料金、対象リージョンの記載もありません。また、プレビュー期間中のため、正式版までにAPIや設定が変わる可能性があります。
影響する会社・しない会社
- 影響する: Temporal CloudとCloud Runを組み合わせ、継続的なバックグラウンド処理を動かす会社です。最小・最大台数と、待機後の起動待ちを許容できるかが検討点です。
- 影響する: 本連携を採用する開発・運用チームです。既存コードを変えずに利用できても、Worker Versioningとビルドごとのプール配置への対応は必要です。
- 影響しない: 本連携を利用しない会社です。今回示された自動増減は、Temporal Cloudとの連携によるもので、Cloud Run全体に適用される変更としては案内されていません。
情シスが今日やること
- 今日、開発責任者にTemporal CloudとCloud Runの利用有無を確認します。対象があれば、継続的なバックグラウンド処理と、その運用担当者を一覧にします。
- 採用判断の前に、運用担当者と対象ワーカープールの最小・最大台数を確認します。管理画面の具体的な設定箇所は発表には書かれていません。初回タスクの起動待ちを許容できるかを業務担当者に確認し、設定方針を決めます。
- 検証環境で権限を付与する前に、IAMの設定でTemporal Cloudに与える権限を確認します。Cloud Run Admin APIによる台数変更のための権限として、対象と許可する操作を運用担当者と確認します。
- 初回の展開前に、開発担当者とWorker Versioningの採用方法を決めます。PINNEDかAUTO_UPGRADEか、ビルドごとのプールをどう配置するかを整理し、承認者にはプレビューで設定変更の可能性があることも伝えます。