AWSは2026年10月14日付の発表で、Vercel Marketplaceとv0でAmazon S3の提供を開始したと明らかにしました。VercelでWeb・AIアプリを開発する利用者が、ストレージの作成と接続設定を自動化できます。既存のAWSアカウントも接続できますが、すでにあるバケットをそのまま接続する連携ではありません。
保存用途に応じて3種類のS3リソースを選択
今回の連携には、S3汎用バケットに加え、Amazon S3 TablesとAmazon S3 Vectorsも含まれます。バケットは、データを保存する入れ物です。汎用バケットは画像や動画、文書などの保存に使えます。
S3 Tablesは、分析向けのApache Iceberg形式のデータを扱う、管理をサービス側に任せられるストレージです。AWSによると、テーブルの保守や、データをまとめて整理するコンパクションを自動化します。
S3 Vectorsは、情報の特徴を数値で表したベクトルを保存・検索するためのものです。検索した情報を生成AIの回答に使うRAGや、言葉の意味に基づく検索に利用できます。ただし、ベクトル自体は生成しません。利用者が選んだモデルで生成する必要があります。
v0では、自然言語で用途を指示すると、それに合うS3リソースを作成できます。AWSによると、S3への接続設定と、動作するコードの生成も行います。保存先の準備は自動化されますが、S3 Vectorsを使う場合のモデル選定とベクトル生成は、別に確認すべき作業です。
固定キーは保存せず、料金はS3の通常料金
認証には、認証情報を受け渡す仕組みであるOIDCの短期トークンを使います。AWS STSから一時認証情報を取得する方式で、AWSによると、この連携では固定の認証キーを保存しません。
連携を通じた新規AWSアカウントの作成と、既存AWSアカウントの接続に対応します。リソースは利用者自身のAWSアカウント内に置かれます。既存アカウントを接続した場合は、現在の請求を維持します。ただし、接続対象はVercel経由で新規作成したバケットだけです。
連携自体は無料ですが、使用するリソースにはAmazon S3の通常料金がかかります。Vercel経由で作成した新規AWSアカウントには、有効期間6カ月の$100クレジットが付与されます。既存アカウント向けの特典としては案内されていません。
提供地域は、Vercelが対応する全ての商用AWSリージョンです。日本での提供についての個別の説明は発表には書かれていません。日本語対応や日本向けの価格も記載されていません。
影響する会社・しない会社
- 影響する: VercelでWeb・AIアプリを開発し、画像・文書の保存先や分析用ストレージを新設する会社です。作成・接続の手順と、どのAWSアカウントに置くかを検討する材料になります。
- 影響する: VercelでRAGや意味検索を開発する会社です。S3 Vectorsで保存・検索を行う部分と、選んだモデルでベクトルを生成する部分を分けて設計する必要があります。
- 影響しない: 既存のS3バケットをこの連携でそのまま接続したい会社です。今回の既存アカウント接続で対象になるのは、Vercel経由で新規作成したバケットだけです。
- 影響しない: Vercelを使わない開発については、今回の連携の対象として案内されていません。既存システムの移行期限や、設定変更の義務も発表には書かれていません。
情シスが今日やること
- 開発担当に、Vercelの利用有無と、今回新しく作る保存先の用途を確認します。既存バケットの再利用を想定している場合は、今回の接続対象ではないことを導入判断前に伝えてください。
- 導入担当と、新規AWSアカウントを作るか、既存アカウントを接続するかを決めます。作成時は、発表に記載されたVercelダッシュボードの「Storage」→「Create」→「AWS」と進む手順を確認してください。バケット種別とリージョンを選んで作成する流れに加え、プロジェクトへの接続手順も確認してから進めます。
- リソース作成後、本番利用を始める前に、AWS側で保存先のアカウントとリージョンを確認します。S3 Vectorsを使う場合は、開発担当にベクトル生成を担うモデルと処理も確認してください。
- 経理・予算管理担当に、連携は無料でもS3の利用料金は発生すると知らせます。新規アカウントのクレジットを利用する場合は、有効期間6カ月を予算計画に記録してください。既存アカウントの場合は、現在の請求を維持する前提で利用費用の管理担当を決めます。