Google Cloudは2026年10月17日、Reflectionが同日に公開したAIモデル「Beam」の公開当日サポートを発表しました。企業が自社でモデルを動かす際に使える導入手順や、処理性能を高める構成を公開しています。ソフトウェア開発や、長い処理を続けるAIエージェントの基盤を検討する企業にとって、評価の選択肢が増えます。
Beamの導入手順と設定ファイルを公開
Beamは、学習済みの重みを入手できるオープンウェイトモデルです。Reflectionにとって初のオープンウェイトモデルで、開発者、研究者、企業を対象としています。ライセンスはApache 2.0です。
モデルの規模を表す総パラメーター数は約5010億で、トークン当たりに使う有効パラメーター数は約230億です。一度に扱える情報量を示すコンテキストウィンドウは約100万トークンあります。公開時点では、数値の表現形式が異なるBF16、FP8、NVFP4のチェックポイントを用意しました。重みはReflectionのHugging Faceページから入手できます。
Google Cloudは、AI HypercomputerとNVIDIA AI Infrastructure向けの導入手順を公開しました。入手先はAI-Hypercomputer/gpu-recipesとllm-dの各リポジトリです。Gemini platformのModel Gardenでも、最適化済みの導入手順を提供します。
処理を配置・管理するためのKubernetesマニフェスト、処理の振り分け設定、性能測定用スクリプトもオープンソースで公開しています。モデルだけでなく、配信環境の構築と検証に使う設定も確認できる点が今回の発表の特徴です。
日本での提供は発表には書かれていません。日本での提供時期、日本語対応、日本向け価格、利用可能なリージョンも記載されていません。
最大5倍の性能値は比較条件に注意
Google CloudはReflectionと協力し、Beamの配信基盤を最適化しました。基盤にはllm-dとvLLM、NVIDIA DynamoとSGLangを採用しています。
Googleによると、単位時間当たりの処理量であるスループットは、A4X Maxで最大5倍、G4 VMで最大2倍になりました。応答の遅延は、いずれも最大8分の1としています。A4X MaxはNVIDIA GB300 NVL72、G4はNVIDIA RTX PRO 6000を使用します。
ただし、これらは顧客ベンチマークに基づき、それぞれを同じハードウェアの基準構成と比較した数値です。Googleは、A4X MaxとG4では測定構成が異なるため、結果を直接比較できないと説明しています。自社の処理でも同じ倍率になる前提で、容量や予算を決めないことが重要です。
最適化では、入力を読み込む処理と出力を生成する処理を分離しています。会話履歴などの計算結果を保持するKVキャッシュを考慮して処理を振り分け、再計算を削減します。キャッシュの退避先には、ホスト側のメモリーとローカルSSDを使います。導入評価では、モデルの性能だけでなく、こうした周辺構成も確認する必要があります。
影響する会社・しない会社
- 影響する: ソフトウェア開発や長期的なエージェント処理向けに、Beamの導入を検討する会社です。公開された手順と設定が評価対象になります。
- 影響する: A4X MaxやG4 VMでBeamの処理性能を検証したい会社です。基準構成と最適化構成を区別して測定する必要があります。
- 影響しない: Beamを導入・評価しない会社について、今回の発表では既存サービスの設定変更や移行は示されていません。既存契約やプランごとの影響も、発表には書かれていません。
情シスが今日やること
- 開発部門やAI活用の担当者に、Beamの評価予定があるか確認します。対象業務がソフトウェア開発なのか、長期的なエージェント処理なのかを整理し、評価責任者を決めます。
- 評価環境を作る前に、AI-Hypercomputer/gpu-recipesとllm-dのリポジトリで導入手順、Kubernetesマニフェスト、振り分け設定を確認します。担当する基盤チームに、必要な構成の確認を依頼します。
- 性能測定の前に、公開されたベンチマークスクリプトと自社の評価条件を突き合わせます。ハードウェアと構成を記録し、A4X MaxとG4の公表値をそのまま横並びの比較資料にしないよう、開発担当者に伝えます。
- 社内の導入承認前に、日本での利用可否、リージョン、料金、日本語での利用要件を確認します。発表で確認できない項目を一覧にし、Google Cloudの問い合わせ先や契約窓口に確認してから、予算と導入日程を決めます。