工場の設備の画面を作るソフトに、ファイルを開くだけで危険になる脆弱性が7件見つかりました。富士電機と発紘電機の表示器(HMI)向けの画面作成ソフト「V-SFT」は、ver 6.2.11.0 およびそれ以前が対象です。JVNは2026年10月26日にJVNVU#96549652として公開しました。
直すのは工場の機械ではなく、画面を作るPCのソフトです。ですから、設備の担当と情シスで、どのPCに入っているかを確認するところから始まります。
7件の脆弱性は、どれも同じ入口
V-SFTは、MONITOUCHという表示器(機械の状態を映し、タッチで操作する画面)に出す画面を、PCで作るソフトです。JVNが挙げた脆弱性は、メモリの範囲を越えて書いたり読んだりする型で、次の7件です。
| CVE |
種類 |
| CVE-2026-107894 |
スタックベースのバッファオーバーフロー |
| CVE-2026-107895 |
境界外書き込み |
| CVE-2026-107896 |
境界外読み取り(VS6ComFile の load_gr_item 関数) |
| CVE-2026-107897 |
境界外読み取り(VS6MemInIF の set_temp_type_default 関数) |
| CVE-2026-107898 |
境界外読み取り(VS6EditData の MacroCommandCheck 関数) |
| CVE-2026-107899 |
境界外読み取り(VS6EditData の CheckSymbolMacroParam 関数) |
| CVE-2026-107900 |
境界外読み取り(VS6ComFile の ItemCheck 関数) |
深刻度は、CVSS v4.0 が基本値 8.4、v3.1 が 7.8 で、7件とも同じです。評価の前提は、攻撃元がローカル(そのPC上)、必要な権限は不要、利用者がファイルを開くなどの操作が要る、というものです。報告者は Michael Heinzl 氏です。JPCERT/CC が報告を受け、開発者との調整を行いました。
JVNが公開した富士電機V-SFTの脆弱性情報の画面出典: JPCERT/CC・IPA JVN(引用)
起きること:細工されたV7形式ファイルを開く
JVNが想定する影響は、細工されたV7形式ファイルを開くと、情報が漏えいしたり、任意のコードを実行されたりする可能性があることです。V7形式は、V-SFTが扱う画面データのファイルの形式です。
攻撃のきっかけは「ファイルを開く」ことです。ネットワークの設定やパスワードが破られなくても、メールやUSBメモリで渡されたファイルを、作画用のPCで開いた時点で問題になりえます。
編集部の見立てでは、この種の画面データは、装置メーカーや保守の委託先、設計の担当者の間で何度も受け渡されます。受け取ったファイルが、本当に相手の作ったものか確かめにくい場面があるはずです。ただし、実際の悪用があったという情報は、JVNには書かれていません。
影響する会社・しない会社
影響する:
- V-SFT ver 6.2.11.0 以前を、設備の担当のPCや、装置メーカー・保守の委託先に預けたPCに入れている会社です。
- 画面データを、メール・USBメモリ・共有フォルダで外とやり取りしている会社は、確認の優先度が高くなります。
- 古い版のまま、保守のために残してあるPCも対象です。
影響しない:
- V-SFT を使っていない会社です。MONITOUCH の表示器を使っていても、作画に別のソフトだけを使っているなら、今回の公表には当たりません(使うソフトは担当に確認が要ります)。
- ver 6.2.12.0 以降に更新済みの場合は、JVN が挙げるパッチを適用した版です。
JVNが挙げた対策の資料は、富士電機の「V-SFT-6 改善情報 Ver.6.2.12.0」です。富士電機の資料の公開ページには、Excel形式の改善情報があり、ログインなしで取得できると書かれています。改善情報の個別の中身までは、当社では確認していません。
なお、CISA(米国のサイバーセキュリティ機関)の勧告は、JVNからのリンクがなく、10月26日時点で同じ件の勧告は見つけられませんでした。