楽天モバイルは2026年10月13日、「my 楽天モバイル」からダウンロードできる支払い証明書が、第三者に閲覧される可能性があったと公表しました。自社が実施した脆弱性診断テストで見つかったもので、すでに2026年6月20日に改修を終えています。
外部からの攻撃で情報が盗まれた、という発表ではありません。会社の点検で弱点が見つかり、直したうえで公表した、という内容です。この記事は、楽天モバイルの公表をもとに、起きたことと、自社の会員向けサービスで同じ不備がないかの点検を整理します。
何が起きたか
楽天モバイルの公表によると、第三者が特定のプログラムなどを使い、通常のサービス利用では行わない特殊な操作を意図的に行うことで、他人の支払い証明書を閲覧できる可能性がありました。
楽天モバイルのお知らせ。改修は6月20日に完了、金融情報と通話履歴は対象外とある出典: 楽天モバイル「【重要】支払い証明書の第三者閲覧の可能性について」(引用)
| 項目 |
公表の内容 |
| 判明のきっかけ |
自社が実施した脆弱性診断テスト |
| 対象 |
「my 楽天モバイル」でダウンロードできる支払い証明書 |
| 閲覧の可能性があった情報 |
氏名、住所、電話番号、データ利用量、利用料金、その他の明細情報など |
| 含まれない情報 |
クレジットカードなどの金融情報、通話履歴 |
| 改修 |
2026年6月20日にシステム改修などの対応を完了 |
| 現在の状況 |
確認できる範囲の記録を調べた結果、第三者による閲覧や二次被害は確認されていない |
| 報告 |
すでに関係当局へ報告済み |
楽天モバイルは、楽天モバイルを装った不審な連絡に注意するよう、利用者に呼びかけています。報道では、現在の契約者だけでなく、過去に契約していた人も通知の対象とされています。
会社の対応
- 確認できる範囲の記録を調査し、第三者による閲覧や二次被害は確認されていないとしています
- すでに関係当局へ報告しています
- システムの定期点検やチェック体制の強化などで、再発防止に努めるとしています
- 本件の問い合わせ先として、電話 0800-600-6660(年中無休 9時から17時)を案内しています
自社の点検で見つけて直し、そのうえで公表する、という対応です。個人情報が実際に外部へ出たかどうかと、弱点があったかどうかは、分けて受け取る必要があります。
情シスの目線: 認可の不備は自社でも起こり得る
今回の「特殊な操作で他人の書類が見える」という問題は、Webサービスやアプリでよくある「認可の不備」にあたります。利用者を確認(認証)した後に、どのデータを見せてよいか(認可)の確認が足りないと、他人のデータが見えてしまいます。
たとえば、会員向けに請求書・明細・証明書をダウンロードさせる画面で、URLやリクエストの中の番号(利用者IDや書類の番号)を書き換えるだけで、他人の書類が取得できてしまう、という形です。番号が連番など推測しやすいと、大量に取得されるおそれもあります。
自社や委託先が、会員向けに書類をダウンロードさせる仕組みを持つなら、点検の対象です。公開アプリを手がかりにサーバを狙う攻撃もあり、公開アプリからサーバを狙う「A2B攻撃」の記事で、API側の認可の点検をまとめています。
影響する人・会社、しない人・会社
- 影響する: 「my 楽天モバイル」で支払い証明書をダウンロードできる利用者。現在の契約者と、過去に契約していた人が対象と報じられています。
- 影響する: 社員が楽天モバイルを使っている会社。楽天モバイルや楽天をかたる不審な連絡が、社員に届くおそれがあります。
- 影響しない(この件では): クレジットカードなどの金融情報と通話履歴。公表では、これらは含まれないとされています。
- 参考になる: 会員向けに書類や明細をダウンロードさせる仕組みを持つ会社。自社の認可の点検の機会になります。
会社・情シスが今日やること
- 社員に注意喚起する。 楽天モバイルや楽天をかたる、不審なメール・SMS・電話に注意するよう伝えます。氏名・住所・電話番号・料金が知られていると、本物らしい文面の連絡が作られやすくなります。
- 対象かどうかの確かめ方を伝える。 楽天モバイルからのお知らせやメールは、リンクをすぐ開かず、公式サイトや「my 楽天モバイル」から確かめるよう案内します。不明点は、本件の問い合わせ窓口(0800-600-6660)で確かめます。
- 自社の会員向けサービスを点検する。 請求書・明細・証明書などをダウンロードさせる画面で、URLやリクエストの識別子を変えて、他人の書類にアクセスできないかを、開発担当か委託先に確かめます。
- 脆弱性診断の予定を確かめる。 今回は自社の診断で見つかりました。自社のWebサービスやアプリで、定期的な脆弱性診断を行っているか、直近でいつ行ったかを確かめます。
- 公表と報告の手順を確かめる。 個人データの漏えいのおそれがあるときの、個人情報保護委員会への報告と利用者への案内の手順を、1枚にまとめておきます。流れは個人情報保護委員会の資料にあります。
書かれていないこと
- 脆弱性の技術的な詳細(どの画面の、どのような不備か)
- 実際に第三者が閲覧した事実の有無(公表は「可能性」で、確認はされていないとしています)
- 対象となる利用者の件数
- 改修前に、どれだけの期間、閲覧の可能性がある状態だったか
2026年10月13日時点の内容です。