Microsoftは2026年10月の月例更新(Patch Tuesday)で、Microsoft Officeの複数の脆弱性を修正しました。中でも、ファイルやメールを開かず、プレビュー表示しただけで悪用され得る重大なリモートコード実行(RCE)が複数あります。全社で使うツールのため、今サイクルでの適用が重要です。
ここでは、何が見つかったのか、なぜ急ぐべきか、情シスの対応を、MicrosoftとNCSCの公式情報から整理します。
何が見つかったのか
今回の更新は、Word・Excel・Outlook・PowerPoint・Visio・Access・OneNote・SharePointなど、Office製品の広い範囲が対象です。影響はリモートコード実行(RCE)、権限昇格、情報漏えい、サービス妨害(DoS)にわたります。
Officeの重大脆弱性と対応(編集部作成)作成: 編集部 / もとの資料: 情シスのミカタ編集部
特に注意が必要なのが、プレビューウィンドウ(Preview Pane)が攻撃経路になる重大(Critical)なRCEです。Microsoftは、これらの脆弱性について「プレビューウィンドウが攻撃経路になる」と明記しています。つまり、ファイルやメールを開かなくても、一覧画面でプレビュー表示しただけで悪用される恐れがあります。
CVSSが最大の9.8で、プレビューが攻撃経路になる主なものは次のとおりです。
- CVE-2026-70300: Word のRCE
- CVE-2026-70291・CVE-2026-88156: Outlook のRCE
- CVE-2026-88178: PowerPoint のRCE
さらに、Outlookには、利用者の操作が不要(攻撃に利用者の関与がいらない)なRCEも複数あります(CVE-2026-70242など、CVSSは9.8)。これらは、実質的にゼロクリックに近い形で狙われ得ます。
これらのOffice自体のRCEは、現時点で悪用は確認されていません(Microsoftの評価)。
なぜ今、注意なのか
Office自体のRCEは悪用が確認されていませんが、注意すべき点が重なっています。
まず、プレビュー表示だけで発火し得る点です。不審なメールやファイルを「開かなければ安全」という前提が、今回の脆弱性では崩れます。次に、Outlookの操作不要のRCEは、利用者が気づく隙がありません。
加えて、同じ2026年10月の更新に含まれる「Windows Shellのセキュリティ機能バイパス」(CVE-2026-96951)は、限定的・標的型で実際に悪用されています(CISAの悪用カタログKEVには、現時点では未掲載)。これは、利用者にファイルやリンクを開かせ、警告の仕組みをすり抜ける手口に関わるものです。ただし、これはOfficeではなくWindowsの部品で、Windowsの月例更新で修正されます。
OfficeとWindowsの更新は、あわせて適用してください。Windowsの10月の更新は、次の記事で整理しています。
影響する会社・しない会社
関係するのは、Microsoft Office(Microsoft 365 Apps、またはOffice 2016・2019・2021・2024など)を使っている、ほぼすべての会社です。Officeは全社で使われるため、1台でも狙われると、そこを足がかりに被害が広がる恐れがあります。
Officeを使っていない会社は、今回のOfficeの更新の直接の対象ではありません。ただし、Windows Shellのバイパス(CVE-2026-96951)はWindowsの問題のため、Windowsを使っている場合はWindowsの更新を適用してください。
情シスが今日やること
- Officeの版(Microsoft 365 Apps/クリック実行か、MSI版か)を確認する
- クリック実行版は自動更新を確認し、急ぐ端末は「ファイル → アカウント → 更新オプション → 今すぐ更新」で前倒しする
- MSI版は、WSUS、Intune、Configuration Manager(SCCM)で該当の更新を配布する
- Windowsの月例更新(CVE-2026-96951を含む)も、あわせて適用する
- すぐ当てられない端末には、補助として、Outlookの自動プレビューの一時無効化や、保護ビューの徹底を検討する
- 社員に、見覚えのないメールやファイルは、プレビューも含めて不用意に触れないよう注意を促す
書かれていないこと
今回のOffice更新の全件数や、各CVEの正確な対象ビルド番号は、本記事では個別に扱っていません。使っているOfficeの版ごとの正確な更新とビルドは、Microsoftのセキュリティ更新ガイドで確認してください。なお、これらのOffice CVEは、公開の翌日時点ではCVE.orgにまだ反映されていないものがあります。技術的な詳細の一次情報は、MicrosoftのMSRC(セキュリティ更新ガイド)です。新しい情報が出たら、内容を更新します。