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GitHubの偽AIアプリ、署名つきの正規のexeにマルウェアを読み込ませる

ClaudeやGPTのデスクトップアプリを装うGitHubの偽のプロジェクトから、マルウェア「Yoba」が配られていました。ZIPの中のexeはOpenAIとAnthropicが署名した本物で、隣のDLLを読み込んで動きます。Check Pointの報告をもとに、影響を受ける端末と、タスクや通信の記録で確認することを整理します。

公開 情シスのミカタ編集部AIにより執筆編集部が確認:
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GitHubの偽AIアプリ、署名つきの正規のexeにマルウェアを読み込ませる

この記事のまとめ

  • GitHubの偽のプロジェクトが、GPT-6 AstraやClaude Opusのデスクトップアプリを装い、Googleの検索の上位からZIPを配っていました。
  • ZIPの中のSetup.exeは、OpenAIとAnthropicが署名した正規のプログラムです。隣に置いたwinmm.dllを読み込ませて、マルウェアを動かします。
  • 管理者の権限が無いと、最初の段階で止まります。予定されたタスクとDNS over HTTPSの通信を調べ、AIのアプリの入手先を社員に示します。
こんな方に#20代#30代#40代#50代実務

GitHubで見つけたAIのデスクトップアプリでも、署名が本物なら安心してよいのでしょうか。今回の手口では、答えは「いいえ」です。

セキュリティ企業Check Pointの研究部門は2026年10月27日、「Claude Opus」や「GPT-6 Astra」のデスクトップアプリを装うマルウェアを、「Yoba」と名付けて公表しました。ZIPの中には、AnthropicとOpenAIが署名した正規のプログラムが入っています。悪さをするのは、隣に置かれたDLLだけです。

2か月ほど追ってきたもので、最後に入ったのは仮想通貨を掘るプログラムでした。ただ、途中のローダーは、指示しだいで別のプログラムも入れられます。

Check Point Researchの攻撃の流れの図。ChatGPTを装うSEOポイズニングのGitHub.ioのページから、GitHubのリリースのZIP(GPT-6-Astra-Setup.zip)を落とさせる。ZIPの中の署名つきのOpenAIのSetup.exeがwinmm.dll(YobaDropper)を読み込み、YobaDropperが正規のwmpdmc.exeを動かしてwmpdui.dll(YobaLoader)を読み込ませる。YobaLoaderは、1にTelegramの画像(yoba_fanclub)を落とし、2にDNS over HTTPS(dns.google)に問い合わせ、3にfiles.catbox.moeから本体を落とす
Check Pointの図。GitHubのZIPから、正規のexeとDLLを経て指示の取得へ出典: Check Point Research「Tricks from the Past deployed via signed ChatGPT and Claude binaries」(引用)

検索の上位に出る、GitHubの「無料のデスクトップ版」

入口は、AIのモデルの名前を借りたGitHubのリポジトリです。GitHub Pagesに説明のページを置き、ダウンロードのリンクから、Releasesに上げたZIPへ誘います。

スターやフォークの数を水増しした形跡は無く、GitHubの中の検索では目立ちません。それでもGoogleの検索では上位に出ていて、Check Pointは、題や説明を検索向けに作り込むSEOポイズニングとみています。報告に載った画面では、「GPT 6 Astra download free」の検索で、OpenAIの公式のページのすぐ下に偽のページが並んでいました。

github.comは開発で毎日使うため、プロキシで止めていない会社が多いでしょう。URLだけを見て、怪しいと気づくのは難しい相手です。

装ったアプリ ZIPの名前 上がった日(UTC) 中の正規のプログラム
GPT-5.6 Sol sol-setup.zip 8月30日 OpenAIの署名つきのプログラムを、Setup.exeの名前で入れる
Claude Opus Setup-Claude.zip 8月31日 Anthropicの署名つきのプログラムを、Setup.exeの名前で入れる
GPT-6 Astra GPT-6-Astra-Setup.zip 9月4日 sol-setup.zipとほぼ同じ中身

3つとも、中の組み立ては同じです。最初のリポジトリは7月16日に作られ、ZIPが上がったのは8月末からでした。ZIPにパスワードはかかっていません。検査の環境を見分ける仕掛けなどで、検知の率がもともと低かったためだと、Check Pointは書いています。

6月の初めには、AIのコーディングツールのCursorの名前(Cursor.exe)で動く前の版も見つかっています。開発の部署も、狙われる側に入るでしょう。

署名つきのSetup.exeが、隣のwinmm.dllを読み込む

ZIPを開いてSetup.exeを動かすと、同じフォルダーのwinmm.dllが読み込まれます。DLLサイドローディングという古い手口です。Windowsは多くの場合、プログラムと同じフォルダーのDLLを先に探すので、名前をそろえた偽物でも読み込んでしまいます。

2つのファイルの署名の情報を並べた画面。左は、署名は有効、著作権はOpenAI, LLC、製品名と説明はCodex、元の名前はnotification_helper.exe、版は151.0.7922.174、署名の日は2026年8月29日、署名者はOpenAI OpCo, LLCとMicrosoftのコード署名の認証局。右は、署名は有効、著作権はAnthropic PBC、製品名と説明はClaude、元の名前はclaude.exe、版は1.40609.0、署名の日は2026年8月27日、署名者はAnthropic, PBCとDigiCertの認証局
ZIPの中のexeの署名。OpenAIとAnthropicの署名は有効と表示される出典: Check Point Research「Tricks from the Past deployed via signed ChatGPT and Claude binaries」(引用)

署名の欄を見ると、OpenAIのほうはOpenAI OpCo, LLCの署名で、元の名前はnotification_helper.exe、製品名はCodexでした。Anthropicのほうは、Anthropic, PBCが署名したclaude.exeです。どちらも、署名は有効と表示されます。

悪い処理が入っているのは、winmm.dllのほうです。ZIPに入れたのと同じ日に作られていて、本物のwinmm.dllに似せて180の関数の名前を並べていますが、中身は空でした。

このDLLは、動く前に3つのことを確かめます。

  • 自分を読み込んだプログラムの名前がSetup.exeでなければ、約12.7日のあいだ眠り続ける。検査の環境で、DLLだけを動かされたときのため
  • キーボードの配列がロシア語やカザフ語など、旧ソ連の国々の言語なら動かない。ウクライナ語は、この除外に入っていない
  • 管理者の権限で動いていなければ、「Please run this program as Administrator.」と出して終わる

3つめが、情シスにとっての分かれ目です。

居座りはWindows Media Playerのふり、指示はDNS over HTTPSで

管理者の権限で動くと、winmm.dllはC:\ProgramData\WMProcessというフォルダーを作ります。System32から正規のWMPDMC.exeを写し、その隣に次の段のwmpdui.dllを置いて、同じ手口で読み込ませます。

起動のたびに動かす役は、予定されたタスクです。作成者を「Microsoft Corporation」、説明を「Collects device metadata for Windows Media Player.」とし、起動の3分後にSYSTEMの権限で動くように登録します。

次に何を入れるかの指示は、手の込んだ道筋で届きます。

  1. Telegramのチャンネル(yoba_fanclub)のプロフィールの画像を取り、その末尾から「形容詞-名詞-動詞-数字.dedyn.io」の形のドメインを作る
  2. GoogleのDNS over HTTPS(dns.google)で、そのドメインのTXTのレコードを引く
  3. 署名を確かめて暗号を解いた中身のURL(files.catbox.moe)から、本体を落とす

落とした本体は、svchost.exeに入り込ませるか、%TEMP%にexeとして置くか、PowerShellで隠して動かします。exeとして置くときは、ネットから落としたしるし(Zone.Identifier)を消してから動かします。

DNS over HTTPSや、よく使われるファイル共有のサービスを使うのは、DNSの監視やゲートウェイの対策をすり抜けるためだと、Check Pointはみています。社内のDNSサーバーの記録には、作ったドメインへの問い合わせは残らないでしょう。

最後に入ったXMRig 6.26.0は、Tor経由で採掘します。CPUのスレッドの85%を使う設定で、利用者が操作しているあいだは止まり、操作が無くなって240秒たつと再開します。席を離れたときだけファンが回る端末は、疑ってよさそうです。

管理者の権限がある社員の端末が影響を受ける

対象になるのは、社員に管理者の権限があり、ソフトを自由に入れられるWindowsの端末です。新しいAIのツールを試すことの多い、開発や企画の部署が中心でしょう。検索で「デスクトップ版」「無料」と探してたどり着く人を狙っています。

社員に管理者の権限を渡していない端末なら、最初の段階でメッセージを出して止まります。

ただ、ここに落とし穴があります。「管理者として実行してください、と出ました」と相談されたとき、情シスが代わりに管理者で実行すれば、そこから先へ進んでしまいます。

報告に出てくるのはWindowsだけです。Macを狙う似た手口は、検索広告から偽Claudeへ、Macに貼らせるClickFix社員への伝え方で取り上げました。公式のサイトから入れたChatGPTやClaudeのアプリが危ない、という話ではありません。

端末と通信の記録で確認すること

報告の中身から、情シスが自分で確認できることを並べます。

  1. 予定されたタスクの一覧で、作成者がMicrosoft Corporationで、説明が「Collects device metadata for Windows Media Player.」のものを探します。C:\ProgramData\WMProcessの下にWMPDMC.exeやwmpdui.dllがあれば、感染を疑います。前の版は、スタートアップのフォルダーにmsdefender_scheduler{7940-8490-6670-1081}.lnkを置いていました。%APPDATA%の下のMicrosaft Difendirという、つづりの違うフォルダーも使っています。
  2. プロキシやEDRの記録で、t.me/yoba_fanclub、dedyn.ioのドメイン、dns.googleへのTXTの問い合わせ、files.catbox.moe、Torの通信を探します。署名つきのexeが、ダウンロードのフォルダーやProgramDataで見慣れないDLLを読み込む動きも、EDRで探せる手がかりです。報告の末尾には、ファイルのハッシュとYARAのルールも載っています。
  3. 社内の端末に、公開のDNS over HTTPSを使わせるかを決めます。社内のDNSを通らない問い合わせを許していると、DNSの記録だけでは、こうした通信に気づけません。
  4. アプリの許可の一覧を見直します。発行元で許す決まりだけなら、署名の正しいSetup.exeは通ってしまいます。AppLockerのDLLの規則は、別に有効にしないと働きません。WDAC(App Control for Business)を含め、ダウンロードのフォルダーや%TEMP%のように利用者が書き込める場所からの実行を止めるほうが、効き目は大きいはずです。
  5. AIのアプリを入れてよい入手先を、社員に示します。提供元の公式サイトか社内の配布の仕組みだけにし、GitHubの「free desktop」やZIPのインストーラーは入れないと伝えます。検索の上位に出ていても、公式とは限りません。
  6. 管理者の権限を求めるAIのツールは、実行する前に情シスへ相談してもらいます。情シスの側も、中身を見ずに代わりに管理者で動かさないことを、ヘルプデスクの手順に書いておきます。

AIのアプリは、新しいモデルの名前が出るたびに「デスクトップ版」が探されます。禁止の一言より、ここから入れてよいという場所を一つ示すほうが、社員は迷わずに済むでしょう。

よくある質問

Q見つかったのが採掘のプログラムだけなら、情報は盗まれていないと考えてよいですか。

Aそうとは言い切れません。Check Pointによると、YobaLoaderは、PowerShellのスクリプトを含め、指示されたものを何でも動かせる仕組みです。見つかった端末はネットワークから切り離して調べ、その端末で使っていたパスワードやトークンも替えておくと安心です。

出典・参考

編集部が確認:。確認した監修者は、この下に載せています。

執筆

情シスのミカタ編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の発表・企業の公式発表などの一次情報を調べて、情シス向けの解説・比較・テンプレの記事を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

メモ: 掲載時に自動で(しばらくの間)

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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