「ドパガキ」という言葉を、SNSやニュースで目にする機会が増えました。ショート動画が止まらない自分を笑う言葉として、若い世代を中心に広がっています。言葉の意味と広がり方、10代のネット利用の実態、スマホの設定でできることを、親子それぞれの立場から整理します。
「ドパガキ」とはどんな言葉か
「ドパガキ」は、「ドーパミン中毒のガキ(子ども)」を縮めたネットスラングです。ショート動画やゲームなど、強い刺激をすぐに得られるものに慣れた人を指して使われます。ドーパミンは脳内で働く物質の名前ですが、この言葉自体は医学用語ではありません。
使われ方は大きく2つあります。「ショート動画を延々と見てしまう。自分、ドパガキすぎる」のような自虐と、「これはドパガキ向けの曲だ」のように作品の刺激の強さを表す使い方です。
自分を笑う分には軽い言葉ですが、他人、とくに子どもに向けると見下す響きを持ちます。「ガキ」という言い方も含め、家庭や職場では相手を責める言葉として使わないよう気をつけたいところです。
Xの投稿数は1年半で数万倍に
withnews(朝日新聞社)は、朝日新聞社メディア研究開発センターがXの投稿を分析した結果を報じています。2025年3月から2026年8月までの投稿は927,653件で、その約9割が最後の4か月に集中していました。
| 時期 |
「ドパガキ」を含むXの投稿数(月) |
| 2025年3月 |
11件 |
| 2025年7月 |
233件 |
| 2026年4月 |
約4万件 |
| 2026年5月 |
12万件超 |
| 2026年8月 |
約30万件 |
分析では、音楽をめぐる仲間内の言葉として始まりました。2025年10月にVTuberの配信の切り抜き動画のタイトルに使われ、2026年2月に題材にした漫画が話題になったといいます。6月には「寝ろドパガキ」という呼びかけが広く拡散しました。
ガジェット通信の「ネット流行語大賞2026上半期」では6位に入りました。最近は、子どものスマホ利用を心配する親に向けた記事でも見かけるようになりました。
数字で見る10代のネット時間
こども家庭庁は毎年、10〜17歳の青少年とその保護者に、ネットの使い方を聞いています。2025年11〜12月に行った令和7年度の調査では、青少年の回答者は3,060人でした。
| 区分 |
平日1日あたりの平均利用時間 |
| 青少年全体(10〜17歳) |
約5時間27分(前年度より約25分増) |
| 高校生 |
約6時間44分 |
| 中学生 |
約5時間24分 |
| 小学生(10歳以上) |
約3時間54分 |
目的別では「趣味・娯楽」が約3時間1分で最も長く、勉強などの約1時間6分を大きく上回りました。ここでの時間は、スマホやゲーム機、テレビなど、使っている機器の利用時間を合計した数字です。
こども家庭庁の調査の概要10。学校の種類別と目的別のネットの利用時間出典: こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」(公共データ利用規約(第1.0版))
「ルールがある」と思っているのは親だけかもしれない
同じ調査では、家庭にネット利用のルールがあるかも聞いています。親と子で答えに差がある点が目を引きます。
| 学校の種類 |
ルールがあると答えた子 |
ルールがあると答えた親 |
| 全体 |
67.2% |
75.9% |
| 小学生(10歳以上) |
83.8% |
88.4% |
| 中学生 |
74.5% |
81.9% |
| 高校生 |
44.3% |
58.3% |
こども家庭庁の調査の概要14。家庭のルールの有無を子と親で比べた図出典: こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」(公共データ利用規約(第1.0版))
こども家庭庁は、学校の段階が上がるほど「ルールを決めていない」が増え、親子の認識の差も広がっていると分析しています。
ショート動画が止まらない作り
ショート動画を見ているうちに時間が過ぎるのは、意志が弱いからだけではありません。アプリの作りそのものに、やめどきを見つけにくい特徴があります。
| 特徴 |
起きやすいこと |
| 1本が数十秒と短い |
「あと1本だけ」と思いやすい |
| 指で上にずらすと次がすぐ始まる |
見るかどうかを考える前に再生が始まる |
| 一覧に終わりがない |
区切りがないので、やめるきっかけがない |
| 見た動画からおすすめが選ばれる |
好みに合う動画が続き、飽きにくい |
| 通知で呼び戻される |
別のことをしていても、またアプリを開く |
テレビ番組や本には「1話」「1章」という区切りがあります。ショート動画にはそれがないため、自分で区切りを作る仕組みが役に立ちます。次の章では、その区切りをスマホの設定で作る方法を紹介します。
スマホの設定でできること
主な3つの仕組みをまとめます。メニューの名前は、iPhoneはiOS 27、YouTubeとAndroidは2026年10月時点の各社のヘルプに合わせています。機種やバージョンで表示が違う場合があります。
| 仕組み |
どこで設定するか |
できること |
| iPhoneのスクリーンタイム |
「設定」の「スクリーンタイム」 |
「許容時間」でカテゴリごとに使える時間を決める。「スクリーンタイムのスケジュール」で使えない時間帯を決める |
| AndroidのDigital Wellbeing |
「設定」の「Digital Wellbeing」 |
「アプリタイマー」でアプリごとに1日の時間を決める。「おやすみ時間モード」で夜は画面を白黒にする |
| YouTube |
アプリの「設定」の「時間管理」 |
「ショート フィードの上限」でショートを見る時間を決める。0にもできる |
Appleが発表に載せた、スクリーンタイムの設定画面(英語表示)を出した3台のiPhone出典: Apple(引用)
iPhone:まず1週間の使い方を見る
iPhoneでは、「設定」の「スクリーンタイム」で「1日の平均」を開くと、1日や1週間の使用時間とよく使うアプリが分かります。画面を何回持ち上げたか、通知を何件受け取ったかも確かめられます。
iOS 27では「許容時間」が新しくなり、エンターテインメント、ゲーム、ソーシャルメディアなどのカテゴリごとに時間を決められます。Appleによると、許容時間は専門家の研究をもとに子どもの年齢の範囲に合わせて調整されており、設定の出発点として使えます。
子どものiPhoneは「お子様用アカウント」で管理する
子どもにiPhoneを持たせるなら、ファミリー共有で「お子様用アカウント」を作ります。年齢に応じた保護機能が有効になり、保護者がペアレンタルコントロールを管理できるようになります。
iOS 27では、子どもがSafariで新しいサイトを開くときに保護者の承認を求める「ウェブサイト閲覧のリクエスト」も使えます。18歳未満のユーザーには、ヌードや暴力的な画像などの表示や共有から守る「コミュニケーションの安全性」が最初から有効です。
新しいスクリーンタイムの機能を家族で使うには、ファミリー共有のグループ内のすべての機器をiOS 27などの最新版にする必要があります。親の古いiPadが残っていると使えない機能があるため、先に家族全員の機器を更新しておきましょう。
Android:アプリタイマーとおやすみ時間モード
Androidでは、「設定」の「Digital Wellbeing」で、その日の利用時間、起動した回数、受け取った通知の数が見られます。「アプリタイマー」で上限に達すると、アプリは終了してアイコンが灰色になります。タイマーは午前0時にリセットされます。
自分で決めた制限をすぐ外してしまう人は、「アプリの制限のPIN」を家族に設定してもらう方法もあります。「おやすみ時間モード」では、夜の時間に画面を白黒にしたり、壁紙を暗くしたりできます。
YouTube:ショートだけに上限を付ける
YouTubeアプリでは、「マイページ」から「設定」、「時間管理」と進み、「ショート フィードの上限」を選びます。上限に達するとリマインダーが表示され、ショートを閉じるか続けるかを選ぶ仕組みです。
「全般」にある「休憩を取るように通知する」と「おやすみ時間になったら通知する」も使えます。この2つは、13〜17歳のユーザーでは最初からオンになっていて、18歳以上はオフになっています。
親子で抜け出すための5つのステップ
Appleは9月29日、米国小児科学会と作った家族向けのガイドを公開しました。会話を始める、子ども用のアカウントを作る、使う時間の計画を立てる、成長に合わせて見直すといった流れです。これを参考に、家庭で始めやすい形にすると次のようになります。
- 責めずに話す。「ドパガキ」と呼んで笑うのではなく、困っていることがないかを聞く
- 親子で1週間の利用時間を見せ合う。親の数字も見せる
- ルールを一緒に決める。寝る1時間前から触らない、食事中はかごに入れる、など
- 設定で区切りを作る。許容時間やアプリタイマー、ショートの上限を一緒に設定する
- 1か月後に見直す。守れなかった理由を話し、時間や場所を調整する
大人自身の付き合い方
ショート動画が止まらないのは、子どもだけの話ではありません。20代でも40〜50代でも、仕事の合間や寝る前に気づけば1時間、という経験は珍しくないはずです。
INTERNET Watchでは、20代のライターが、SNSを使う時間が1日5時間半ほどあったと振り返っています。まず自分の数字を知ることが、大人にとっても出発点になります。
- 通知をしぼる。ショート動画のアプリの通知はオフにする
- ホーム画面の1枚目から動画アプリを外し、フォルダの奥に移す
- 寝室に充電器を置かず、目覚ましは時計を使う
- 待ち時間用に、本や音声コンテンツなど区切りのあるものを用意する
- 1日の上限を決め、超えた日はメモに残して週末に振り返る
今日からできること