Microsoft は2026年10月の月例更新(Patch Tuesday)で、開発ツールの脆弱性 を多数修正しました。.NET 、ASP.NET Core、Visual Studio Code、.NET Frameworkなどが対象です。注意したいのは、開発ソフト(IDE)だけでなく、アプリを動かす「ランタイム」も対象である点です。
ここでは、何が修正されたのか、なぜ運用 中のアプリまで対応が要るのか、情シス の確認点を、MicrosoftとNCSCの公式情報から整理します。
何が見つかったのか
今回は、開発ツールの広い範囲で脆弱性が修正されました。主な対象は、.NET(ランタイム・SDK)、ASP.NET Core、Visual Studio Code、.NET Framework、Visual Studioなどです。種別は、リモートコード実行(RCE)、権限昇格、情報漏えい、サービス妨害(DoS)、セキュリティ機能のバイパスにわたります。
開発ツールの脆弱性とランタイムの対応(編集部作成) 作成: 編集部 / もとの資料: 情シスのミカタ編集部
深刻度が高い主なものは、次のとおりです。
CVE-2026-88092: ASP.NET Core の改ざん・機能バイパス。CVSSは9.4です。
CVE-2026-70188: ASP.NET Core のHTTPリクエストスマグリング。CVSSは9.1です。リクエストの境界を誤認させ、不正な要求を紛れ込ませる種類の問題です。
CVE-2026-102238: Visual Studio Code のRCE。CVSSは9.6で、今回の開発ツールの中で最も高い評価です。
.NET・.NET FrameworkのRCE(CVE-2026-70174、CVE-2026-70007など、CVSSは8.8)も複数あります。
修正版は、.NETが8.0.32・9.0.21・10.0.13など、SDKが8.0.426・9.0.319・10.0.402などです。
なぜ今、注意なのか
今回の肝は、脆弱性が開発ソフト(IDE)にとどまらず、アプリを動かす「ランタイム」にも及ぶ点です。これは、Visual StudioやVisual Studio Codeを更新すれば終わり、という話ではありません。
.NETで作った業務アプリは、動かしているサーバーやクライアントの.NETランタイムを更新する必要があります。Microsoftの案内では、アプリの作り方で対応が分かれます。
フレームワーク依存のアプリ: 更新した.NETランタイムを入れて、アプリを再起動する
自己完結(self-contained)のアプリ: 修正版で再ビルドして、配り直す
脆弱なNuGetパッケージを参照している場合: パッケージをパッチ版に更新する
つまり、影響は開発環境だけでなく、運用環境(本番で動いているアプリ)にまで広がります。特に、インターネットに公開しているASP.NET CoreのWebアプリは、早めの対応が必要です。
なお、悪用は現時点で確認されておらず、CISAの悪用カタログ(KEV)にも載っていません。ただし、これは月次のまとめが出そろう前の暫定の確認です。前の月(9月)には悪用されたものもあったため、公開後の情報も確かめてください。
影響する会社・しない会社
関係するのは、社内に開発者がいる会社や、.NETで作られた業務アプリ(自社開発でも、ベンダーに作ってもらったものでも)を使っている会社です。IDEの更新に加え、アプリを動かすサーバーやクライアントのランタイムまで対応が必要です。
開発をしておらず、.NETのアプリも使っていない会社への影響は薄めです。ただし、.NET FrameworkはWindowsに同梱されているため、該当する修正はWindows Updateで配信されます。Windowsの月例更新を適用していれば、その分は当たります。
情シスが今日やること
社内に開発環境(Visual Studio、Visual Studio Code)があるかを確認し、あれば更新する
自社やベンダーが作った.NET製の業務アプリがあるかを洗い出し、どの.NET(バージョン)で動いているかを開発・運用担当者に確認する
フレームワーク依存のアプリは、サーバー・クライアントの.NETランタイムを修正版に更新して再起動する。自己完結のアプリは、修正版での再ビルドと再配布を担当者・ベンダーに依頼する
インターネットに公開しているASP.NET CoreのWebアプリから優先して対応する
.NET Frameworkの分は、Windowsの月例更新(Windows Update)で配信されるため、Windowsの更新もあわせて適用する
書かれていないこと
今回の開発ツールの更新は件数が多く、本記事ではすべてのCVEや正確な対象バージョンの一覧は扱っていません。使っている.NETのバージョンごとの正確な修正版と対応は、Microsoftの.NETの告知(dotnet/announcements)とセキュリティ更新ガイドで確認してください。悪用の有無は、月次のまとめが出そろう前の暫定です。新しい情報が出たら、内容を更新します。